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Top > 特集記事 > 芸能・スポーツ > 2013.4.22
感動読み物 内川聖一「WBC走塁ミス」 駒野友一「南アW杯PK失敗」 高橋尚子「五輪直前のケガ」ほか
有名スポーツ選手 人生最大の「失敗」からどう立ち直ったのか
■泣き顔を全国中継されて ■ダメな自分を認めること
■他人の顔が見られない ■五輪で勝つのはこんな人
■Qちゃんの号泣  
たったひとつのミスに人生が狂わされることがある。とくにその一挙一動を数千万人に監視されるトップアスリートに顕著だろう。逆境といかに付き合い、克服するか。心技体の揃った超人たちに学ぶ。

泣き顔を全国中継されて
「それ、僕が今、話さないといけないですか」

 内川聖一(30歳)が怒気を含んだ声で、本誌記者の質問を遮った。

――あの走塁はサインだったのか?

 3月18日、日本のWBC3連覇の夢は準決勝で散った。絶好の反撃機を潰した8回裏の「ダブルスチール失敗」。一塁走者の内川は二塁走者の井端弘和が走っていないのにもかかわらず、猛然とセカンドへダッシュした。気づいたのは二塁手前。呆然と立ち尽くした内川には、相手のタッチをかわす余力も気力も残っていなかった。

 試合後、泣きじゃくる内川の姿がテレビ画面を通じて、日本中に流された。

 それでも、史上二人しかいないセ・パ両リーグでの首位打者に輝いたヒットマンは帰国後、わずか2日でオープン戦に出場。いきなりマルチ安打を放つと、報道陣を前にこう語った。

「ソフトバンクの日本一という新しい目標へ、前を向いて戦っていきますよ」

 現役最強打者らしく、WBCでの走塁ミスのショックは払拭した、かに見えた。

「そうじゃないんです。だって、世界大会ですよ? ましてや第1回、第2回と優勝していて、日本のみなさんが3連覇を期待してくれていたのは、痛いほどわかっていましたから。応援してくれた人たち、侍ジャパンに関わってくれた人たちに何と言っていいか、申し訳ない気持ちでいっぱいで。僕自身、第2回大会から出場しているので、代表チームがどんな想いで戦い、優勝したのかわかっている。その先輩たちの想いも、すべて自分が止めてしまった。正直、無理矢理にでも前を向くしかありませんでした」

 唇が、少し震えていた。

 派手なガッツポーズでチームを盛り上げる内川の姿は、自分のプレーはまったく問題がないから、チームメイトを鼓舞することに腐心している――そう映っていると告げると、内川は苦笑いを浮かべ、否定した。

「僕、基本はビビりなんです。クライマックスシリーズや日本シリーズ、もちろんWBCも、試合の日の朝を迎えるのが怖い。いまだに嫌ですね」

 輝かしい実績に隠れているが、プロ入り後、しばらくは苦難の連続だった。

「僕が入団したころの横浜は'98年に日本一になったメンバーの方が残っていた。高卒1年目の選手が大先輩の前で、自分を表現することはできなかった。縮こまっていましたね」

 プロ3年目にはイップスになった。セカンドからファーストへ、短い距離の送球ができない。そんな時、出会ったのが臨床心理士の武野顕吾氏だった。キッカケはイップスだったが、内川はもっと大事なものを手に入れた。

「考え方というか、ものごとの捉え方が変わりましたね。武野さんと出会って、物事をいろんな角度から見られるようになった。一つの見方しかできないと、上手くいかないものはずっと上手くいかない。アプローチ法が一つしかないんだから、当然ですよね? それを右から、あるいは裏から見れば、自分の成長に繋がる見方があるかもしれない。そう考えられるようになった」














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