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Top > 特集記事 > 社会 > 2013.4.30
全国民必読 慶應医学部が「長寿500人追跡調査」で解き明かした
「100歳で元気ピンピンな人」の秘密
■なぜ日本人は長生きか ■「奇跡のホルモン」があった
■75歳が運命の分かれ目 ■長生きする人の共通点
■夢の長寿薬が誕生する日  
百寿者人口が5万人を突破した日本。だが、優れた医療を後ろ盾にしても、100歳を元気な状態で迎えるのは難しい。そんな中、最新の研究で、ついに健康長寿の命運を握る「鍵」が解き明かされた。

なぜ日本人は長生きか
「我々『百寿者研究チーム』は、100歳まで健康長寿を保つ秘訣と深くかかわる、あるホルモン物質をついに見出したのです」

 こう語るのは、慶應義塾大学医学部老年内科学教室の新井康通医師。

 日本の100歳以上の高齢者は、ついに5万人を突破した。なぜ100歳人口がこれほどまでに増えたのだろうか。そして、100歳まで元気に生きられる人と、その前に亡くなってしまう人の間には、どのような「違い」があるのだろうか――。

 そのような素朴な疑問をきっかけに、新井医師が所属する慶大医学部老年内科と東京都健康長寿医療センターが、共同で100歳老人の健康調査に乗り出したのは'00年のことだった。当時はまだ、100歳以上の長寿者は全国でも1万人足らず。調査チームは、都内に住む百寿者約1200人をピックアップし、一軒一軒調査依頼書を郵送する地道な作業から、研究をスタートさせた。新井医師は、当時を振り返ってこう語る。

「1200人にお願いをして、直接話を聞くことができたのは、そのうちの300人でした。アンケート調査に協力してくれた方を含めれば、500人のデータを集めることができました。

 調査では、食事や性格、病歴、生活習慣などの聞き取りと、血液検査をし、心電図をとりました。一人の調査に2時間近く費やし、調査がすべて終わるまでに丸4年かかりました。

 当時、世間は'90年代の『きんさんぎんさん』ブームの余波が続いており、『100歳は元気』というイメージが広がっていました。そして、実際に調査をしてみると、なんと100歳以上の人たちの5人に一人が一人でお風呂に入ったり、自分で着替えをしたりと、完全に自立した生活を送っていることが分かったのです」

 新井医師の共同研究者で、300人の訪問調査に同行した大阪大学大学院人間科学研究科の権藤恭之准教授は、百寿者たちの印象についてこう語る。

「百寿者の方たちは、皆さんとにかくポジティブ。あるお婆さんは、電動のカートが欲しいと言って、それに乗って畑へ行っていた。操作が結構難しいのに、自らチャレンジするんです。こんな元気ピンピンな人はもちろんですが、寝たきりの人も、驚くほど気持ちが前向きで明るいのです。たとえば、食事のとき以外はずっと布団で寝ているお爺さんがいました。『ずっと布団の中にいて、つまらなくないですか?』と質問したら、『自分が若い頃に作った歌を歌ったり、昔のことを思い返したり、いろんなことを考えたりしている。だから少しも退屈じゃないよ』という返事が返ってきました。歳をとると、若い頃は幸せと感じられない状況でも幸福感を得られるように、いわば心が“進化”していくようなんです」

 心穏やかで、ポジティブ。これが百寿者の共通点である。ただ、それだけでは寿命を左右するほどの決定打にはならなかった。














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