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Top > 特集記事 > 経済 > 2013.7.1
全国民必読 知ってる人は知っている
日本経済 7月に起きること
■大きな分岐点がやってくる ■実体経済は悪くない
■選択肢は限られている ■マネーは日本に向かう
アベノミクスは「踊り場」を迎えている。5月6月に起きた市場の大混乱の中で、安倍政権は有効な策を打ち出せなかった。そして7月、世界はまた、大きく変わる。混沌の中、日本経済に何が起きるのか。

大きな分岐点がやってくる
 アベノミクスは、このまま“死んで”しまうのか。日本経済は再び、重大な岐路に差し掛かっている。

 金融緩和など“三本の矢”と称される政策を燃料に、大パワーのエンジンで坂道を駆け上がってきた日経平均株価は、5月末から6月にかけ、まるでそのエンジンが止まったかのように停滞し、上がるどころか下へとズリ下がってしまった。

「このところ株価が伸び悩んでいた要因としては、6月19日にFRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長が、金融緩和(QE3=量的緩和第3弾)の縮小を示唆したことで、米国の長期金利が急上昇したことが大きい」

 そう語るのは証券アナリストの植木靖男氏だ。

「米国の長期金利は昨年7月には1.39%でしたが、それが最近、一時2.6%以上に急上昇しました。長期金利が上がるとローン金利が上がり、自動車市場や住宅市場に大きな影響を及ぼします。これらの分野の好調によって景気が回復してきた米国にとって、金利の上昇は景気の悪化につながるのです」

 この約半年の間、日本経済は順調に回復基調を示し、株価も右肩上がりを続けてきた。その背景には、日本企業にとって巨大市場でもある米国経済が好調だったという大きな要因がある。

 米国と日本、世界経済の中核を成す両国が景気回復の軌道に乗っていたと見て、投資家たちは安心して投資を行い、株価が押し上げられてきたのだ。

 その流れが、FRBの緩和縮小示唆によって変化してしまった。

「QE3の縮小により、何が起きるか。これは、今まで市場に“じゃぶじゃぶ”の状態だったマネーの供給が止まることを意味します。投資家はそれを受け、これまで目一杯、広げていた投資の輪を閉じる方向で動く。世界中でマネーの巻き戻しが起き、結果的に昨年後半以降、世界でもっとも資金が流入していた日本株が売られることになったのです」(株式評論家の渡辺久芳氏)

 米国が緩和政策の縮小に動くのは、景気が回復していることの証拠でもあり、悪いことではない。しかし、日本の回復はまだこれからだ。景気回復の象徴として株価が上がり、企業や個人のマインドが改善して、それが消費活動に繋がる。そんな好循環が始まって、ようやく一般の人たちも景気回復を実感できる。

 ところが、その前に株価上昇にブレーキがかかり、暴落と乱高下の繰り返しで、市場のテンションは下がってしまった。

「アベノミクスもこのあたりが限界では」

 すでに、そんな声も広がり始めている。

 果たして、日本経済は本格回復を待たずして、またしても停滞・低迷期に逆戻りするのか。それとも、そんな沈滞ムードを吹き飛ばし、再び力強く坂道を登り始めるのか。

 実はこの「7月」が、その大きな分岐点になるのは間違いないだろう。

 まず、先に述べたように、日本を取り巻く世界の環境は、あまり良いとは言えない。信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏はこう語る。

「QE3縮小の見通しが公表された結果、新興国の株式市場が不安定化し、それらの国の通貨が弱含みになりました。少し前までは、欧米諸国の経済が低迷する一方で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)などの新興国が高い成長率を達成してきました。金融緩和を行ってきた欧米諸国や日本から、投資資金がそれら新興国の市場に流れていたからです。

 しかし、そうした世界経済の構図と、マネーフローの動きがここへきて大きく変化しています。とくに中国は、過大な設備投資の後遺症で経済全体の供給能力が過剰になっている。それに加え、地方政府が抱える多額の負債や、“シャドーバンキング”と呼ばれる簿外資産などの一部で問題が発生しています」

 シャドーバンクとは、正規の銀行とは異なる、ノンバンクやファンドなどのこと。中国の場合、“まとも”な国営銀行は優良な国営企業に貸し出しをするのがメインのため、地方政府や中小企業は、こうしたシャドーバンクを通じて資金を融通し、ここ数年の経済発展を演出してきた。その融資総額は、一説には中国GDPの約半分、およそ29兆元(約460兆円)にも達していると言われる。

 その巨額の“裏マネー”が、ここにきて乱脈融資の積み重ねで不良債権化し、空前の金融危機が発生する恐れが出てきたのである。

「中国では6月20日、一時的に短期金利が、それまでの7%前後から13〜14%へと約2倍に跳ね上がりました。中国政府はコントロールできると思っていたのでしょうが、予想外に金利が高くなったこともあり、海外からの投資資金は香港経由で流出しています。

 中国政府は完全にコントロール不可能になる前に対応するはずですが、それを誤るとリスクが一段と深刻化し、世界経済に与えるインパクトは大きくなります。中国の動向は注視しておく必要があるでしょう」(同)














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