ぶち抜き特集 逆流を始めた「アベクロ」バブル もう何が起きても不思議ではない
恐怖のアベノミクス相場 素人は退場すべし
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■プロでも大ケガをする |
■個人投資家がカモになる |
■もう一度株価は上がるのか |
■プロは日本株「大暴落」を知っていた |
■サインは出ていた |
■うまく逃げ切った |
■ここを見ておけば大丈夫 |
■安倍チャン、元気出してよ |
■ガッカリしたよ |
■総理の顔色はやばいよ |
■何であんな人に会うの? |
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見通しの良い一本道を駆け上がると、見えない崖がいくつもある危険地帯が待っていた。素人はふるい落とされ、プロも大怪我をするような難所に差し掛かったアベノミクス。ここからの道は険しい。 |
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プロでも大ケガをする
個人投資家にとっては、悪夢のような2週間だった。▲1143円(5月23日)、▲737円(5月30日)、▲512円(6月3日)、▲518円(6月5日)――。これは5月23日に始まった日経平均「暴落」の足跡である。この2週間で株価は1万6000円付近から約3000円も下落し、市場は大きく動揺した。
「これまではアベノミクスに対する期待感から、株が値上がりして円安になってきました。しかし5月23日で、その“第一幕”は終わったと言えます。今後、年内に暴落前の高値(1万5942円)を抜けるかどうか、非常に厳しい状況にあります」(証券アナリスト・植木靖男氏)
今回の局面で深刻なのは、6月5日、日経平均が1万3000円割れ寸前まで売り込まれた際、その原因を作ったのが他ならぬ安倍晋三首相だったことだ。
この日、日経平均は前日のニューヨーク・ダウ平均の下落を受け、やや弱めに寄り付いたが、昼過ぎ、一気に180円も上昇。理由は安倍首相が都内で行う講演で「成長戦略第3弾」の発表をするとされていたからで、期待感から株価は急上昇したのだった。
ところが、その期待はまさしくバブルのように、一瞬で弾けて消えた。
「安倍首相は、成長戦略第3弾のキーワードを『民間活力の爆発』と強調しましたが、法人税の減税や大胆な規制緩和など、市場が求めていた政策はほとんど手付かずの印象でした。期待が大きかっただけに、失望感が広まるとあっという間に売りが始まった」(大手証券会社トレーダー)
結局、この日の終値は前日比518円安の1万3014円。午後1時から東京市場が閉まる午後3時までのわずか2時間で、高値から約700円も暴落したのだった。
これは安倍首相にとっても、その政策であるアベノミクスにとっても由々しき事態である。5月末以降の暴落過程でも、投資家は希望を失っていなかった。「成長戦略」が、株価を反転させるのではないかと期待していたからだが、それが完全に裏切られたからだ。
株式市場はこれまでの「誰でも儲かる」状態から、“素人”には触りにくい、危険な環境に陥りつつある。いつ株価が上がるか下がるか、プロでも容易に予測できない、混沌とした状況になってしまった。
前出・植木氏がこう語る。
「最近は出来高が減っているので、株価が一方に動き始めると、そちらに大きく振れるようになっています。この背景には、ヘッジファンドなどによるコンピューターを使った超高速取引(HFT)が増えていることもある。人間が株を売買するのではなく、予め組んでおいたプログラムに従って、コンピューターが自動的に売買するのです」
たとえば、今市場で注目されている、外資系の商品先物取引業者「ニューエッジ」という会社がある。最近、日経225の先物取引の売買高で常にトップクラスにいる会社で、一部では、ここが最近の乱高下の“震源地”のひとつになっているとも言われている。株式アナリストの一人がこう語る。
「ヘッジファンドは、こうした業者を通じてコンピューターでの超高速取引をしています。ニューエッジはもともとフランス系の先物取引会社ですが、秘匿性、守秘性が非常に高い上、自分のところのコンピューターとこの会社のコンピューターを直接繋いで取引ができるなど、ヘッジファンドからみて非常に使い勝手がいい。表向き、『手口』(売買の主体)として新聞などに名前が出るのはニューエッジなどの業者だけですから、ヘッジファンドは裏でやりたい放題ができる」
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