竹村会 会員企業にみる“躍進”の秘密
プロフィール:

わずかな振動を敏感に察知し、きしみ音に耳を澄ませる。仕事柄とはいえ「どこへ行っても電車、電車だから、周りに呆れられるときもある」というほどだ。
図師氏は大学を卒業後大手総合商社である丸紅(株)に入社。営業マンからスタートし、やがて昭和47年開催の札幌オリンピックに向けて札幌市内の交通機関整備にプロジェクトマネージャーとして携わった。
札幌はいわずと知れた日本屈指の豪雪地帯。ここにゴムタイヤ車両の地下鉄を走らせ、雪国札幌の都市活性化に貢献した。
「日本初の技術を皆で力を合わせてつくり上げる過程は、ワクワクしどおしでしたね」
大学では法律を学んだ図師氏だが、技術業をマネージメントすることにギャップは感じなかった。むしろ「やっているうちに確実におもしろくなった」と当時を振り返る。
それゆえに日常生活も電車とは切り離せない過ごし方だ。もちろん海外に行ったときも、その試乗癖をいかんなく発揮する。
「いちばん怖かったのはアルゼンチンの国鉄。先頭車両から運転席の窓ガラス越しにガタガタになった線路を走っていくのが見えたんです。50年前にイギリスがつくって、そのままメンテナンスもしていないと聞いたときは驚きました」という貴重な体験を通して、日本の電車はいかに整備が行き届いているかを実感したという。
つまり、我々が日常のあらゆるシーンで利用している交通機関の利便性、快適性、安全性の根幹を築き上げてきたといっても過言ではない。
これまで手がけてきたのは京都市の高速鉄道東西線、福岡市の高速鉄道3号線、札幌市の南北線、神戸市の地下鉄海岸線など。システム開発のプロセスは、都市計画構想から交通需要人口の推定、人口動態の推移といったプランニングから始まって、経済性の検討、省エネ・省力化対策などのデザイン、工程管理や許認可取得を支援するプロジェクトマネージメント、マニュアル作成、そして完成後のアセスメントという具合に、トータル思考で取り組んでいる。
「地方自治体がお客様ですから地味な仕事なんです」と図師氏は繰り返すが、すでに具体的なかたちとなって交通システムの充実に貢献している数々の実績は、方々から厚い信頼を得ている。
「急曲線や急勾配がとりやすく、鉄道の線形としては理想的なものが確保できるようになりました」と図師氏も一押しである。
また東京の地下鉄南北線でもみられるホームドアは、安全性が高く、混雑対策、エアコントロールの効率化も図れる。
その他自動列車運転装置やインバータ制御方式など、ハイテクと呼ばれる先端技術の導入によって便利で安全な交通システムの実現が可能になった。しかし、長年これらに力を尽くしてきた図師氏からいわせれば、日本にもっとも欠落しているのは交通政策に対する多角的な視点だという。
「自動車交通をどうやったら冷やせるかは、今や世界的なテーマになっています。ヨーロッパにはそれに見事に対応している市がたくさんあって、ある区域から自動車を閉め出し、バスや電車で中央に入るようにしている。これはひとつの交通政策であり、政策決定をしなければ実現できないことです」
魅力ある街づくりの動脈構築が日本の重要課題のひとつである以上、図師氏の提案に今後ますますの期待が寄せられる。
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