2004.09.09
時事音痴 文藝春秋編 日本の論点
第 回
日朝国交正常化とマツタケの謎
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「日本の論点」のWebサイトを購読されている皆様、どうもはじめまして、わたくし、山崎マキコと申します。普段は「目指せ、茶川賞」ということで「蹴りたい田中」のような小説を書こうとしていつも駄目な、売れない小説を書いている者でございます。これから週に1度の頻度で皆様といやでもお会いすることになるので、ご批判と苦情は「日本の論点」編集部にどうぞ。
 そもそもなんでわたしがこのサイトで連載を始めることになったかというと、遠い昔、わたしが「日本の論点」の目次作りを手伝っていたという経緯があったりするからなのだ。いま思うとかなり恐ろしいことである。たとえば「オタワ条約」って紙に書いてあるのをわたしがパソコンで文字データとして入力していたんだけど、堅く信じて打ち込んだもんだ。
「オタク条約」
 ちなみに対人地雷全面禁止条約のことらしい、オタワ条約は。当時は感心したもんだ、ついにオタク条約かよ、ゲームの発売日前夜に夜間並ぶの禁止条例が出たのかなとか勝手に納得したりして。ぶっちゃけ、いまでいう引きこもりだったんですわ。テレビも見なけりゃ新聞取らない、人とも会わない。でも当時は引きこもりでも人さまの役に立つ仕事があったのだ。というのも、わたし、オタクでネット文化に浸るのが人より早かったもので、ブラインドタッチというのができたのである。それでデータ入力の仕事が廻ってきて、なぜか「日本の論点」編集部とのつながりが出来てしまったのだ。ただ、泣いていたけど、編集部の人は。オタク条約とか平気で入力してあるデータをチェックするのに手間取られて。
 ま、そんなことはさておいて、今回のお題「日朝国交正常化」について語りたいと思う。知ってましたか、日本と北朝鮮って、国交がなかったらしい!
 なのになんでマツタケは輸入されてくるんだ。そしてなんで日朝の国交の正常化が必要なのか。今回はその謎に迫りたいと思う。
 じつはわたし、このお題を貰うまで、日本と北朝鮮のあいだに国交がないのを知らなかったのである。人に言ったら嘘つけとか言われたんだけど、本当だ。だってわたしだって知ってたのだ、北朝鮮からマツタケが輸入されているぐらい。農学部出身だからな! というわけで、マツタケの輸入ができんのに、国交がないなんて嘘つくなと論点の渡辺編集長に詰め寄ったところ、
「マツタケだけじゃなくアサリもしじみも北朝鮮からの輸入だぞ!」
と、逆に博識をひけらかされてしまった。くそ、悔しい。
 これまで時事問題に強くなろうとしてこなかった自業自得とはいえ、人から博識をひけらかされるのは悔しいもんだ。
 それじゃまあ、国交なくても、マツタケもアサリもしじみも輸入されてくるんなら別にいいんじゃないかというのがわたしの主張である。なんでわざわざ国交の正常化が必要なのか。どのみち相手は話し合いが難しそうな国だ。だいたい拉致なんてアンビリーバボーである。わたしは子どものころは逆になぜか時事問題に強かったんで、朝鮮総連の人がテレビで拉致問題についてこう答えていたのは、なんとなく記憶に残ってるんである。
「拉致なんかやってなんの得があります? 日本国内にもこれだけ北朝鮮の協力者がいるのに」
 まったくその通りだ、酷い言いがかりだなと当時は思っていたもんだっけ。それがまあ、曽我さんは出てくるはジェンキンスさんとキスするわで、いろんな意味でビックリ仰天である。信じられない国、北朝鮮。


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自画像
山崎マキコ
1967年福島県生まれ。明治大学在学中、『健康ソフトハウス物語』でライターデビュー。パソコン雑誌を中心に活躍する。別冊文藝春秋に連載の小説『ためらいもイエス』が今年4月に文藝春秋から刊行された。小説はほかに『マリモ』『さよなら、スナフキン』『声だけが耳に残る』。笑いと涙を誘うマキコ節には誰もがやみつきになる。『日本の論点』創刊時、「パソコンのプロ」として索引の作成を担当していた。その当時の編集部の様子はエッセイ集『恋愛音痴』に活写されている。
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