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実は今回のネタ、いま大流行の「オレオレ詐欺」にしようと心に決めていた。標的はもちろん、ボスこと、『日本の論点』編集長の渡辺さんだ。
ボスは金があると思う。たぶんあるんじゃないかな。少なくともわたしよりは豊かなことは事実だ。そこでだ。わたしは、ボスに「オレオレ詐欺」を実行しようと心に決めた。オレオレ詐欺に成功すれば、時事ネタにも強くなれるし、お金も入る。これしかないだろと思ったのだが、調べていくうちにやっかいなことが判明した。オレオレ詐欺を実行するのに大事なことは、カネに困ってる多重債務者を探して口座を作らせる必要があるってことである。そうでないと簡単に足がつくので。
わたしの身近なところに多重債務者はいねーかーと思って探したんだが、わたしが一番多重債務者になる危険をはらんだ生活を送っているのが判明してこの計画は頓挫。しょぼくれて友達と電話で話をしているところにボスからFAXが送られてきた。
「くだらない長電話はやめなさい! 早急に編集部に連絡を入れたまえ」
たしかにずっと通話中ではあったが、どうして「くだらない長電話」だと悟られたのだろう。あわてて電話を切って、編集部に連絡を入れる。もしもし、山崎です。ご連絡を頂戴しまして。
「おう、渡辺だ。きみんとこ2時間も通話中だったぞ。どうせくだらない話をしてたんだろ」
いえ、かなり大事な案件です。知り合いの編集者が某有名作家に迫られていまして。食うか食わないかの瀬戸際に立たされています。その相談を受けてました。
「そんなもんどうでもいいよ。食えといって電話を切りなさい! それより問題は尖閣諸島なんだよ。日本が食うか食われるかの瀬戸際に立っている。きみ、日本が3つの領土問題を抱えているのは知ってるか?」
えーと、竹島? あと北海道の上のほうにちょろちょろ伸びてるアレですよね。3つ目はわかりませんが。
「それが尖閣諸島だよ!」
ああ、そうでしたか。尖閣諸島っていうのは竹島には含まれないんですか。
「全然、別のもんだ! というわけで、今回は東シナ海の資源開発問題を取り上げる。知ってるか、この話は」
ここでピンと来るものがあった。
わかった、今回のネタはアレですね。東シナ海のガス田開発。日本が暢気に構えていたら、中国が勝手に開発を始めて、ストローで横からチューチュー吸うように我が国の資源を横取りしようとしている、アレですね!
「めずらしく知ってるじゃないか。どうしてなんだ」
いや、わたし、この問題にだけは興味があるんですよ。だって日本がなんで第二次世界大戦をおっぱじめたかといえば、資源がなかったからですよね。
「そうだ。ABCD包囲網といってな。あれがなければ日本もこんな馬鹿げた戦争を起こさなかっただろうと、戦後、マッカーサーが言ってるぐらいだから。自分がやったことなのにな」
ロクでもない国ですな。まあいいや。で、我々の国内にものすごいガス田があったなんて夢のような話じゃないですか。当時はないと思っていたからインドシナのほうまで攻めていったわけで。だからいまもですね、イラクに行ってる場合じゃないと思うんです。日本の領域のなかに天然資源があるんだから、とっとと採掘しろ、ですよ。中国に吸われちゃうまえに、怒濤の勢いで吸い返せ!
「なんとなく知識はあるようだが、竹島が尖閣列島だと思ってるようじゃ全然駄目だな。わたしが正しい知識を与えてやるから聞きなさい。排他的経済水域というのがある。国際条約で国土の沿岸から二百海里、つまり370kmの海域は、海底資源も含めてその国が領有してよいということになっている」
そう、それなんですけど、前から不思議に思っていたんです。国と国がひょっこりひょうたん島のように遠く離れている場合ならともかく、近隣の国が二百海里内に入って重なる場合だって、ないとはいえないですよね?
「そうだ。問題はそこだ。中国と日本とのあいだには、お互い二百海里を主張すると、ダブってくる海域が出てくる。そこで問題なのが尖閣諸島だ。もともと領土には先占権というのがあって、ある国がその海底からニョキッと出てきたりした島を発見して、自分の領土であるといえば、その領土となるということになる。いずれにしても日本にはこの先占権があり、実効的な占有を明治以来していた。尖閣諸島には水産加工業者が明治以降に工場を建設して、200人以上の住人がいた。この人たちは戦後に引き上げたのだが、このあとも、中国は日本が統治権を行使していることに関しては、一度も異議を唱えなかった。ところがだ、1970年代に突如として尖閣諸島は俺のもんだと言い出した」
クソ怪しいですね。理由はなんですか。やっぱりアレですか、油田ですか。
「そうだ。大陸棚に石油が見つかったからだ。国連にアジア極東経済委員会がある。そこがこの海底の資源を調査した。すると1969年に大規模な天然ガスと原油が眠っているのが発見されたんだ」
やっぱり! ガス田目的だったんですね。ろくなもんじゃねーな、中国。最近、すごく嫌いになったよ、君のことを。
「中国は高度成長期にあるので、地球の石油は全部中国に吸い上げられるのではないかというぐらい、石油を必要としている。もともと中国にはエネルギーはほとんどない。そこで問題なのは、今度の尖閣諸島の側に、春暁ガス田があって、そこに天然ガスが見つかったことだ。だから中国はそのエネルギーは絶対に譲れない。1998年には日中中間線の平湖ガス田の開発に成功して、すでに大陸まで海底ガス田から原油と天然ガスを運ぶパイプラインを建設してしまった。これもそうとうデカいし、日中中間線より外側。ただし、問題は、パイプラインが外側でも資源は日本の内側にあるってことだ」
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