2004.10.28
山崎マキコの時事音痴 文藝春秋編 日本の論点
第 回
尖閣諸島とオレオレ詐欺
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 あのですね、中国はいまだに我々を侵略者だとブーイングしてるわけですが、実際いまやってることを見たら、中国が我々を侵略してるじゃないですか。
「そうだ。けれどこれに関してはアメリカは上手に立ち回ったというか、中国を刺激しない方向で動いたんだ。だから解決も難しい。1972年に沖縄が帰って来た。そのときに尖閣諸島も返還された。尖閣諸島も日本の施政下、それも日米安保条約で、日本の施政下にある領土だと認めている。けれどアメリカは、もし中国と日本がもめた場合は、関与しないという条文を加えた。帰属に関しては日本のもんだけど、アメリカは責任もたないよと言ってしまった。だから日本も中国が横から資源をストローでチューチュー吸い上げないよう国際司法裁判所に訴えたわけだが、みんな中国を刺激したくないということで、棚上げ状態になってる」
 やっぱり侵略ですよ、侵略。これは資源の侵略です!
「それでいまの経済産業大臣中川昭一は積極的に日本も調査して採掘準備を行うべきだと言ってる。よくやってるな」
 ああ、あの自殺した中川議員の息子さんですね。偉い、日本の政治家ならそうあるべきだ。
「それに押される形で、外務省の藪中局長が、いま中国に交渉に行ってる」
 そうなんですか、中川頑張れ! 藪中も戦え! 政府が自国の権利を守るのは、当然の義務ですよ。
「めずらしくきみも解ってるじゃないか。じゃあなんで日本が中国に対して弱腰なのかも知ってるか?」
 えーと、なんだっけ。マゾっぽい歴史観。あれのせいですよね。
「自虐史観という。民間の業者はさんざんガス田の開発に着手させてくれといっていたのに、政府が中国を刺激したくなくてウンといわなかったからこんなことになった。話は横にそれるけど、あとひとつ教えてやろうか。湾岸戦争でフセインがクウェートを侵略しただろ。で、多国籍軍がやっつけた。クウェートは弱い国でフセインが悪いと言われていたけどさ、フセインにはフセインなりの事情があったのよ。なんだと思う?」
 んー、フセインが、ネットに流されたくないような画像を盗撮された!
「違うよ、アホか! クウェートとイラクの国境線の下に油田があった。しかもイラクのほうに大きな油田があった。ところがクウェートがそれを横からチュウチュウ吸っていた」
 な、なんと、湾岸戦争の原因ってそんなことだったんですか。そりゃフセインも怒るよ。わたし、いま、フセインが可哀想になりました。クウェート、ロクデナシじゃないですか。ていうか、資源の問題って、戦争が起こってもおかしくない、いえ、わたしは戦争には基本的に反対ですが、それぐらい切羽詰った問題ですよね。
 わかりました、ボス! わたしに30万円ください。キャッシュで。
「なんでだ。なんで俺がきみにそんな金をやらなくちゃならん」
 オレオレ詐欺でそれぐらいボスからチューチュー吸い取ろうと思っていたんですよ。まあ被害にあったと思って諦めてください。わたし、そのお金を受け取ったら、漁船をチャーターして尖閣諸島と竹島に日本の国旗をブッ建ててきます。尖閣諸島も竹島も、みんな日本の領土ですよ!
「なんだと、いま聞き捨てならんことを言わなかったか? まあいい。とにかくだな、この問題というのは、山崎なんかに30万やって日本の国旗を建ててきてもよくならない、というか、石原都知事とかがとっくに尖閣諸島に灯台を建ててんだよ! いまさら日本の旗なんか建てても意味はないんだよ」
 あ、そうなんですか。先を越されたか。わたし、人として付き合うには石原都知事みたいなタイプはすごい嫌ですけど、偉いとこもあんですね。ついでに首相になってくれんですかね。
「まあそんなことはどうでもいいや。それよりオレオレ詐欺の件については、のちほど編集部に出頭のうえ、じっくり釈明するように」
 いけね。興奮した勢いで、いらぬことを白状してしまった。このサイトをご覧の皆様、どうぞ編集部宛てに「山崎に恩赦を」のメールを送ってやってください。この連載が潰れたらわたしの経済が破綻しそうなんで。それでは最後に、皆様ともに懐かしのシュプレヒコールをお願いします。
「尖閣諸島は日本の領土。政府は、日本の資源を、守れー」
 おー!

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