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なんか話が難しくなってきたな。面倒だな。まあいいか。ていうか、いまだに外国人の労働力って必要なもん?
あのう、この不況のまっただ中でも、外国人労働者が必要なんでしょうか。
「そうだ。外国人労働者、正しくは外国人労働力だが、それを導入しないと、これからの日本はやっていけない」
はい、ボス! 質問。わたしはこのあいだ年末年始に京橋の郵便局で働こうと思って願書出したんですが、面接の前日にようやく連絡が来まして。翌日なんて当然予定が埋まってますから泣く泣くあきらめたという経緯があります。しかもその年末年始の郵便局のアルバイト、少しはバブルを知ってるわたしの感覚からすると、ものすごく足下を見られた金額なんですが。そんなところへ外国人労働者が入ってきたら、主婦の仕事がなくなりますよ!
「君、そんなに金に困ってるのか。……オレに、おれおれ詐欺を企てたと思ったら、年末年始は郵便局か」
ええ、ものすごくキャッシュに困ってるんです。年明けごろには、ナンバーディスプレイの機能がついた電話機を買いたいんです。
「うーん、年末年始の郵便局のアルバイトはもしかすると外国人労働力のおかげで時給が下がるかもしれないが、落ち着いて聞け。日本における外国人労働力は、そもそも日本が高度成長期の人手不足の時代、コストが安いから、企業が現業部門、つまり工場とかでだな、働いてもらおうと思って入れた時期があった」
バブルの頃もそうですよね。わかりますよ、それは。わたしの父は建築関係の会社を経営してたんですが、働き手がいなくてですね、ヤクザが外国人労働者を斡旋するというのに騙されてフィリピンまで行って、マニラでえらい目にあって、ほうほうのていで帰ってきました。でもいまそんな時代じゃないですよ。鳶も大工の頭領すらも、みんな体が空いてます。あのプライドの高い鳶職人すら、日当8000円ぐらいで喜んで働きにきてくれますから。バブルの頃は日当4万は普通だったのに。
「わかったから、わたしの話をもう少し聞きなさい。まず日本の場合、規制が厳しくてな、ブラジルだとかペルーだとか、日系の場合は単純労働、現業部門などで働くことが許された。これはブラジルやペルーに日系人がいたからだ。ブラジルはわかっていると思うが、フィリピンにも実は日系人がいる。たいていは戦争中、日本人との間に生まれた人たちだ」
へえー、フィリピーナにも日系人はいるのかな。とても日系とは思えない顔の女の子ばっかりだけどな。まあいいけど。
「しかし、中国とかアメリカとか、イラクとか、イランとか、日系じゃない人の就労は許さなかった。そうしないと、途上国からどんどん入ってきて、エライことになっちゃうからな。だから単純労働をする人たちは、日系の人でなければならないということになった。だけど、単純労働をしてくれる人たちは日系人だけでは足りない。そこで地方の小さな会社なんかは、内緒で不法滞在の外国人を使うことが多い」
不法滞在の外国人に働かせる?
わかった! ヤクザが渋谷あたりで違法薬物を売らせているんですね。その人たちにも出て行ってもらいましょう。
「とにかくわたしの話を最後までわたしの話を聞きなさい!」
なんだか難しいことになりそうです、外国人労働力問題。
というわけで、本題は次号!
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