2004.12.23
山崎マキコの時事音痴 文藝春秋編 日本の論点
第 回
2005年税制改正とフリーター諸悪論 その1
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 ところが、である。
 この友人にかかわらず、「心が汚れてない」と称する引きこもり連中は、すごく安直に生活保護に頼る。それを目の当たりにしてきた。彼らの手口というのは、まず、一人暮らしを始める。ちょっとバイトをしては、困難にぶち当たると「心に傷を負った。だれもわたしを理解してくれない」を理由にすぐ辞める。そして行き着く先が生活保護なのだ。彼らは生活保護を上手に貰う手口をよく知っている。さきほどの一人暮らしというのもコツのひとつであるそうだ。理由はよくわからないが。そして、持っているお金で冷暖房、テレビ、冷蔵庫、パソコンといった高額商品をあらかじめ購入しておくのが手法として確立されている。これらは生活保護を受けたあとは購入ができないが、受けたからといって、あとから没収されることはない。そして問題はその生活保護の支給額である。
「東京都で見れば18歳で単身の場合、生活保護で14万円支給される」
 わたしの記憶ではたしか15万円なのだが、あれこれ調べてみたらこう書いてあった。正確なところは役所に行って確認しないとならないが、おおむねこんなところであるのは間違ってないはずだ。一方、都で定められている最低賃金額というのは、12万8000円であった。働いてるより生活保護のほうが楽だってわけである。つまり、彼らの結論はこうだ。
「惨めな思いをして働くよりは、生活保護に頼ったほうがわたしの精神状態には快適だわ」
である。わたしの周りだけで少なからずいるのだから、1匹見れば100匹というように、こんな連中はゴロゴロしている。とくにわたしの怒りのツボをつくのは三十代になってもフリーターを続けている連中の、行き着く先は生活保護という選択なのだ。連中はちょっと働いては「心の傷」を理由に仕事をやめる。しかし三十代も後半になってくると彼らが頼りにしていた接客業というのは若い子の手に奪われることになるので、今度は心療内科かなんかに行って、
「死にたい」
とか匂わせて鬱病の診断を貰ってそのまんま生活保護である。
 心療内科や精神科に通う人たちのなかには、実の親から激しい虐待を受けて精神的に立ち行かなくなった人たちがたしかにいる。そういう人たちが万が一、統合失調症でも発症したとするなら、働けないのも納得ではある。メジャーの処方薬なんて一日中ボーっとして夢うつつの状態になるから、まともな仕事は難しいだろう。それで生活保護を受けなくてはならないというのはしかたないし、責めるつもりはまったくない。こういう人こそ、保護される人々であり、社会福祉というのはそのためにあるのだ。自分の税金の一部がそれにまわされるというのならわかる。せめて最低限の生活だけでも受けて、可能ならば、すこしは「生きてきてもよかったな」と思って欲しいと思う。
 けれど、である。
 社会でちょっと痛い目にあったからといって、生活保護に頼る連中は、わたしは許せないのだ。くだんの友人も、まったく付き合いを切り捨てたわけではないが、この発言以降、気持ちが醒めた。
 憲法第25条で生存権が認められている。けれどそれを悪用しているというのが、わたしには我慢ならない。三十過ぎてもフリーターをやっている人間の腹の底には、「いざとなれば生活保護という手があるさ」という甘えがあると、わたしは断言したい。
 こいつらをどうにかして懲らしめる方法はないのか?
 と思っていたところ、ボスこと『日本の論点』の編集長、渡辺さんからびっくりするようなタイミングで連絡があったのである。
「2005年の税制改革で、フリーターにも厳重に課税されることになった。で、今回はその問題について取り上げようと思う」
 驚愕した。待ってくださいよ、ボス! フリーターって、もしかしていままで課税されてなかったんですか? 冗談でしょう?
「課税されてなかったわけじゃないけど、うまい抜け道があったんだよ」
 なんだその話は! 聞き捨てならんぞ。
 さてその実態はいかがなものだったのか。次回、怒り心頭の彼らの手口を大公開、そして、これからの税制のあり方についてない知恵を絞って考えます!

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