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「そりゃあけしからん。でもそれはさ、男が悪いっていうより、そうさせる常磐線に問題はないか」
そりゃ常磐線沿線は、我が江東区と肩を並べるくらい品がないかもしれませんよ。でもね、なんでもかんでも路線というか、地域格差のせいにしてしまうのは、ボスたちの世代の悪い癖なんじゃないですか。
車内メーク、いいんじゃないでしょうか。
昔ね、山田五十鈴っていう大女優がいたそうですよ。おばさんの世代というのは、
「お化粧直しは人前で行なってはいけません」
という教育を受けてきたわけですが、山田五十鈴は人前で堂々と化粧直しをしたらしい。大きくなったら、自分もそんな女性になりたい。そう思ってきました。だいたいねえ、男はよく文句を言うでしょ? 女のすっぴんと化けたあとのあまりの違いに、
「騙された!」
と。ついでに言うと、オイルパッドブラに騙されて、
「貧乳だった」
と怒るでしょ?
「なんだ、そのオイルパッドブラっていうのは?」
ああ、ボスは知らないんですね。教えてしんぜましょう。ブラジャーのなかに、油の入った袋が内蔵されてんです。布のパッドで膨らませると不自然な感じになるんですがね、オイルパッドだと中身は油ですから、タップンタップン揺れる。じつに自然な感じの豊満おっぱいになれるんです。
「最近、街中を歩く女の子がみんなスタイルがよくなったと感動していたが、そんなので工作してたのか!」
まあ、最近は発育がいい人が多いですから全部が全部とはいいませんが、何割かは騙されているでしょうね。ちなみにわたしも、発売されたら速攻で買いましたよ、オイルパッドブラ。6年ぐらいまえだったかな、発売は。こりゃあいい、と思ったんだけど、おもいのほか重くて肩が凝るから、
「今日は、乳で勝負だ!」
と思うときしか着用しませんがね。
「男性の股間用オイルパッドってえのはないのか!」
なんに使うっていうか、どこで見せるんですか、タイツを履いてバレエでも踊るんですか。必要ないでしょ?
あったとしても、実用する段階になったらどうせバレるんだから、いらないじゃないですか。って、なんの話をしてんだ。元の話に戻りますけどね、車内メークは別に迷惑になってないんだからどうだっていいじゃないですか。そりゃ公私の区別がついていないといわれたらそうなのかなって思わなくもないですが、女がですね、化粧をするっていうことは、オイルパッドブラを使っていない状態の胸を晒すようなもので、男性を騙そうという意識がそこにはない。手管を全部明かしている。良心的じゃないですか。
「わかった!」
なにがわかったんですか。
「こういうことだ。男というのは、だいたい騙すぐらいに、女性から意識して欲しいわけだよ。車内で女性のメークを見せられるということは、つまりそいつは騙す人員に入っていないんだということになる。男としてみてもらってない。それどころか人間としてすら意識してもらってない。芋か石か、その類のもんだってことだろう?」
えーと、うーんと、たしかにねえ、それはそうかもしれないですね。わたしもアピールしたい相手のまえで、わざわざ、
「すいません、あなたが見ているわたしの乳は偽パイです!」
とは宣言したりしないわな。
「それじゃあ君、やっぱり異性の前で化粧するのは失礼になるじゃないか!」
わかった、待ってください。いまようやく理解しました。それが男性の本音なんですね。つまり、アレですね。女が酔っ払って、トイレの戸も閉めずにジャージャーとおしっこしたら男はがっかりすると。車内メークはそれと同じだと。男性を意識して行動する気持ちを捨てないで欲しいと。これでオーケーですかね?
というわけで、今週の結論。
常磐線オヤジは、男を捨てるな。女の目を意識してくれ。
車内メーク女は、女を捨てるな。男の目を意識してくれ。
そうすればたぶん、お互いハッピーになれることでありましょう。
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