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わかります和田先生、相続税100%を唱える気持ち その3
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では、この世代間の格差をどう解消していくのか。それが相続税だと和田先生は主張する。
「高齢社会向けの財源を高齢者世代が負担するシステム、つまり、消費税ではなく、相続税をあてるべきだと私は考えるようになった」
数字を見てみよう。
「現在、日本の個人金融資産は1,400兆円以上を維持している。これに不動産資産などを加えると3,000兆円程度になるとされる。この8割は50歳以上の人のものといわれるから、後述する諸控除を行ったとしても、相続税を100%にすれば、今後30年ほどで1,500兆円程度の税収が期待できる。消費税の増税1ポイントあたりの税収は2兆5,000億円とされているから、年間50兆円の相続税増税は、消費税率20%分の財源に相当するのだ(現在、相続税の税収はわずか1兆円程度にすぎない)」
消費を冷え込ませずにできる増税、それは死者からの税収である、とこの数字を見た瞬間に思った。現在働いている世代からこれ以上の負担を強いることなく、かつ、不平等にならない増税。なるほどそれは、死者からの徴税でないか。
さて、これに対しての反論をみていこう。まず、農業などの事業継承はどうするのか。和田先生もこれについては述べているのだが、「論点」編集部がつけた「円滑な事業継承」についての解説が端的なので、そちらを引用する。
「伝統産業や農業だけでなく、事業のオーナーが経営者を兼ねる中小企業でも、贈与税、相続税のために円滑な事業継承ができないといった問題が出ている。相続税支払いのために株式や工場の売却などを強いられ、廃業に追い込まれるケースもあるからだ。欧米では事業を継続することを条件に事業用資産の評価を大幅に引き下げるといった特例制度が設けられているが、日本ではまだ整備されていない」
この特例を、日本でも実行すればよいのだ。農業のように、ある程度の資産の規模がなければ継続できない事業については、事業を継続するものにそのまま資産が譲り渡されるようにして、そうでなければ、相続税を100%かけてしまえばいい。
このほかに起こりうる問題にどのように対処すればいいのか、それについての詳細は『日本の論点 2006』に掲載されている和田先生の論文を読んでいただくとして、和田論文について最後にわたしが皮膚感覚として、
「これは解る」
と思ったところを抜粋させてもらうと、
「今は日本の金持ちは子供に勉強させない」
という箇所である。
「中学2年生の場合、年収1,200万円くらいまでは親の年収が上がるほど子供の成績は上がる。(中略)ところが、年収が1,200万を超えると、成績下位の子供の割合は、再び38%に急上昇するのだ。金持ちほど子供に勉強させる欧米とは大違いだ」
なぜこれが皮膚感覚としてわかるかというと、以前、違法薬物の使用で逮捕された大物女優の息子がいたけど、わたしはそういう手合いをかなり見たから、としか述べられない。ドラッグをやる資産家の息子、ないし娘というのは、たぶん皆様の想像以上に多い。違法な薬物というのは高価なので、若いうちからそんなもんを使えるのは金持ちのドラ息子、ドラ娘ぐらいしかいない。これにたいして酒は貧者のドラッグで、アルコール依存症者のほとんどが貧乏人だ。金の尽きるときが薬物が断てるときなんだから、
「子孫に美田を残さず」
は、違法薬物を使用する人間も必ずや減らす。実感としてそう思う。
美田を残すと、子は馬鹿になる。言いたくないけど、今回、話をさせてもらったわたしの従兄弟たちも、まったくもって大馬鹿野郎だ。身内なので、あまりいいたくないけれど…。
相続税100%、よろしいんじゃないでしょうか。
そのかわり、社会保障は手厚く。たとえ障害をもつ子どもがうまれてきても家族がその未来を不安に思わないような社会であれ。そう思うきょうこの頃である。
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