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DEVILSCARNIVAL
〜 最後の時〜 Page:0004 
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「俺でなくちゃ駄目なのか?」
「死にたがってて、その上エファーと相性のいい奴はそうそういないからね」
 俺は頷き、目を閉じた。
「……別にいいよ。命だろうと体だろうとくれてやるよ。どうせ……もういらないものだからな」
「物分りのいい奴って可愛いね」
 ティナが喜んで手を叩いた。こういう仕草、悪魔には見えないな。
「ちゃんと契約、果たすわ。圭にとびっきりのいい夢を見せてあげる」
「交換条件ですからね。希望があればお伺いしますが?」
「何だっていいよ。楽に死ねるなら」
 俺は答えた。
 どうせ戻ったところで、寺井を殺した殺人犯だ。殺人犯なんか、姉さんは迎え入れてくれない。きっと罵るだろう。姉さんに嫌われるくらいなら、死んだ方がいい。その方が姉さんも楽になれるんだ。
「じゃあ、準備するから一度戻ってて。また呼ぶわ」
 俺が頷くと、エファーが俺の瞼に手を置いた。その感触がなくなった瞬間、体のあちこちに痛みを感じた。
 薄暗い中、幾つか点灯している緑やら白やらのランプ。低く響く機械音。きつすぎる消毒液の臭い。
 ああ、ここは病院か。しかも集中治療室か何かだろう。何となく分かる。
 全身の痛みで動く事も出来ず、俺はぼんやりと延命装置から発せられる緑色のランプの点灯を見つめていた。