君は、自分の背中を正像で見たことがあるだろうか。おそらく鏡に写る逆像では見たことがあっても、自分の背中が正像で写った写真を持っている人は、ほとんどいないと思う。
君は、誰かの背中をジックリながめたことがあるか。一度試してくれ。背中は、実にいろいろなことを語りかけてくる。だから、彼女がくるりと背中を向けてしまっても、カメラをおろしてはいけないんだ。もう一度、その背中をジックリと見るべきだ。女性を撮ろうと思うなら、よぉーく見るべきだ。背中についた砂粒や、真っ赤に日焼けした肩、白い水着のあと。いろんなものから、彼女が発するバイブレーションが伝わるはずだ。ひょっとしたら、彼女が直接言えない秘密だって伝わるかもしれない。まちがっても、砂をはらいにいったり“顔はこっち、ハイ、こっち向いて!”なんて、言ってはいけないんだ。
2枚だけでいいから、シャッターを押せ。そしてあがりのうちの1枚は、彼女にプレゼントしてしまうんだ。初めて正像で見る自分の背中に、必ず感激するはずだ。
残りの1枚を、君はジッーとルーペで見る。たった1枚の、ブレているかも知れない彼女の背中の写真に、新しい彼女が写っているに違いない。
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