2月7日、自民、公明、民主3党の有志国会議員でつくる「国民主役の新しい公職選挙法を考える会」は、選挙権年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる、公職選挙法(公選法)の改正を決めた。これは、昨年末に憲法改正の手続きを定める国民投票法の投票権年齢を原則18歳以上とすることで3党が合意したのを受けたものだ。「18歳選挙権」が実現すれば今後、20歳を成年とする民法などの関連する法律の改正などに波及することになる。
「18歳選挙権」のメリットとして挙げられるのは、(1)若者の政治への参加を促し、社会的な役割を担わせることができる、(2)年金など世代間の不公平や将来の負担増などについて、若者の多様な意見が政治に反映される、(3)社会的な責任感が育ち、若者の政治離れに歯止めがかかる――などだ。ちなみに、いま日本で18〜19歳は約270万人(2005年10月現在)。
選挙権年齢が18歳というのは世界の大勢で、日本のような20歳というのはむしろ例外の部類に入る。国立国会図書館の調査によると、185カ国のうちで18歳を選挙権の基準にしているのは154カ国で全体の83%、20歳は、日本のほかでは台湾、モロッコ、カメルーンなど7カ国(4%)のみだ。
日本国憲法(15条)では「成年者による普通選挙を保障する」と規定し、公選法(9条)で「日本国民で年齢満20歳以上の者」が選挙権を有するとしている。また民法(3条)では「20歳をもって、成年とする」と規定し、これを受けて、飲酒、喫煙、競馬などの投票権購入の年齢制限を20歳としている。少年法、国籍法、相続税法では成年=成人の年齢20歳を明記している。しかし、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、商法、戸籍法、医師法、公認会計士法では、20歳とは明示せず、成年と未成年で区切っている。
なお、親の同意なしで財産の取得や処分などの法律行為ができるのが成年だ。ただし自動車免許の取得は、成年の扱いを受けて18歳、また結婚も男子は18歳、女子は16歳になればできる。男女とも18歳以上で働いておれば納税義務も生じてくる。
米国の選挙権は、市民権を持つ18歳で、成人年齢は各州によって異なるが、喫煙は18歳、飲酒は21歳が多い。英国は1969年、学生運動が盛んになったのをきっかけに、選挙権と成人年齢を21歳から18歳に引き下げた。ドイツは70年に21歳の成人年齢を据え置いたまま選挙権年齢を18歳に、次いで74年に成人年齢も18歳に引き下げた。
では当事者たちはどう考えているのか。日本経済新聞の報道(2月12日付)によると、全国の20歳以上の男女1000人に対するネット調査で、「18歳選挙権」を適当と答えた人は25%にとどまり、現状維持を支持した人は51%を占めた。支持しているのは親の世代にあたる40歳代が31%と多かった。いっぽう、成年を18歳に引き下げることについては、49%が適当と賛意を示し、早く社会的な存在にするべきと考える人たちが多いことがわかった。
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