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これからどうなる?−私はこう思う。
ライブドア・ショックが証明。日本の株式市場はなお底堅い
2006.02.02 更新
*このコーナーでは、『日本の論点』スタッフライターや各分野のエキスパートが耳寄り情報、マル秘情報をもとに、政治・経済・外交・社会などの分野ごとに近未来を予測します。

 いわゆるライブドア・ショックにより、日経平均株価は1月17・18日の2日間でいっきに927円も値を下げた。ライブドア株やグループ企業株、IT関連株が大幅安となったことで、これらの株を担保とした信用取引の追い証(証券会社への追加担保の差し入れ義務)発生懸念が生まれ、他の銘柄の換金売りが相次いだことが大きな要因だ。加えて、東証の売買全面停止措置によるシステム不安や、たまたま同時期の米国株安も“売り”に拍車をかけた。ただ、ワイドショーの大騒ぎとは裏腹に、市場ではショックによる影響は一時的・限定的との見方が一般的だった。

 実際、日経平均はその後は驚異的な回復を遂げた。19日から31日まで、終値が前日を下回ったのは1日のみだ。27日にはショック前の水準に達し、以後、何事もなかったかのように昨年来の高値を更新し続けている。日々の出来高や売買代金も遜色なく、東証1部の時価総額は500兆円を超えたままだ。一連のショックによって大損した投資家も少なくないだろうが、かといって株式市場から資金が逃避したわけではないことがわかる。株から株へと資金がシフトしているらしい。

 その背景にあるのが、好調な企業業績だ。1月半ば以降、各企業による業績予想の上方修正が相次いでいる。折からの景気回復基調や円安ドル高、それにリストラによる体質強化などが奏功した結果である。とりわけ世の中を驚かせたのがソニーで、26日に06年3月期の連結営業損益予想を従来の「200億円の赤字」から「1000億円の黒字」に修正すると発表。そのとたん、翌27日の同社株は一気に14・2%上昇し、売買代金も東証1部全銘柄中トップに立った。

 ソニーだけではない。自動車大手3社およびスズキの05年の生産台数は、国内外ともに過去最高を記録。大手商社6社の05年4〜12月期の税引き後利益も、そろって過去最高を更新した。そのうち5社は前年同期比60%以上という絶好調ぶりだ。インターネット証券大手5社も、05年4〜12月期は過去最高益を更新。これらの企業の株価は、やはり強含みで推移している。

 業績が良ければ、さらなる業績向上の期待から投資資金か集まる。当たり前の話だが、これが今日の株高を支えている。それが割高か否かという議論はあるにせよ、個々の銘柄が業績ベースで物色される流れは変わらないだろう。逆に業績が期待を下回ったり、業務内容が不明瞭だったりする企業の株は、たちまち売られることになる。一連のショックは、この傾向をさらに強めたのではないか。少なくとも、イメージや目先の値動きだけで売買するのは危険、という認識は広く浸透したはずだ。“授業料”はいささか高くついたが。

(島田栄昭 しまだ・よしあき=『日本の論点』スタッフライター)


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