これは、あるときまで職人的な自信だけでやってきたサラリーマンの体験談である。 〈かつて自分が働いていた職場の同僚から「戻ってきて、また一緒に仕事をしないか」といわれた。感激した。そんな自分にびっくりしたが、本当に涙が出るほど感激した。自分のことを身近で何年も見ていて、よく知っている人たちが、私とまた一緒に仕事がしたいと言ってくれている。そのことがこれほどうれしいことだとは思わなかった〉 このたった一言で、彼の仕事観、職業観は大きく変わったという。私は思う。結局、評価というものは、そういうものなのだろう。どうか、そんな経験を若い人にさせてあげてほしい。 そもそも評価というものは、「うちは○○君でもっている」という評判だとか、「また一緒に君と組んで仕事がしたい」「あの人と一緒に仕事ができるのだったら、給料なんていくらでもかまわない(手弁当でもやらせてほしい)」、反対に「あんなやつとは二度と一緒に仕事をしたくない」というものなのだ。これは入社して一月やそこらで見えてくるような評価ではない。 もしあなたが、あるプロジェクトを任されたら、おそらくあなたは何人かチームのメンバーを指名・拒否する権限を要求するはずだ。そして、これまで仕事をともにし、お互いに長所も短所も知り尽くした仲間の何人かをきっと指名する。 この世のすべての仕事は共同作業であり、誰かと一緒に営んでいくものなのだ。あなた一人では何もできない。あなたを助け、支えてくれる仲間がいるからこそ、納得のいく仕事ができる。そのことに気がついていたからこそ、あなたはこれまで成果を上げ続けることができたのだ。
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