6月21日、日本道路公団など道路4公団の民営化のあり方を検討する第三者機関「道路関係4公団民営化推進委員会」のメンバーが発表された。その中に、特殊法人改革の論客として知られる作家の猪瀬直樹氏が含まれていたことに、自民党道路族の議員らが激しく反発、党の道路調査会長を務める古賀誠前幹事長は翌日の講演で「小泉首相はまたポピュリズムの人選をした。メンバーには改革というより破壊者的な方がいる」と皮肉った。
猪瀬氏といえば、かつて東京湾を横断するアクアライン建設の無計画性を告発し、亀井静香建設大臣(当時)に直談判して通行料を下げさせたほどの実力者。採算を考えない道路公団の建設計画を痛烈に批判し、高速道路整備計画の凍結を主張する猪瀬氏が推進委員になるのは、道路族にとって何としても避けたい事態だった。事実、猪瀬氏を排除するためのさまざまな動きがあったが、最後は小泉首相の決断でメンバー7人が決まった。首相に「裏切られた」かたちになった古賀氏らは、与党内に独自の検討機関を設置して推進委員会に対抗することを決めた。
道路公団民営化は、当面、建設と管理を一体化して民営とする方式か、管理は民営、建設は公的機関の担当として国の関与を残す方式かをめぐって論議が戦わされる。猪瀬氏が「道路公団民営化は特殊法人改革の天王山だ」というように、今後に続く民営化論争のとば口となるため、熾烈な戦いが予想される。
|
|