北川知事がとりまとめ役を務める「地方分権研究会」には、岩手の増田寛也知事、宮城の浅野史郎知事、和歌山の木村良樹知事、福岡の麻生渡知事の4知事が参加した。今後、学界や財界からさらにメンバーを募り、教育・公共事業・福祉・医療・産業・財政などのテーマで地方からの改革を提案し、実践していく予定だ。元財務官の榊原英資慶応大学教授がブレーンを務め、事務局も榊原教授が所属する慶応大学のG-SEC(グローバルセキュリティリサーチセンター)に置いた。
「国と地方」の関係の見直しは構造改革の重要な分野だが、これまでほとんど手がついていなかった。そこで、地方交付税制度の改革、補助金の見直し等、山積する難題を前に、「中央には任せておけない」という危機感が有力知事たちを立ち上がらせることになった。
榊原教授が「地方からの提言を可及的すみやかに実行していくよう心がける。工程表を作るつもりはなく、ただちに実行する」と述べているように、この研究会の強みは、メンバーそれぞれが「地元」という実践の場をもっていることだ。知事の権限は大きい。場合によっては職権で条例を制定することができるし、議会の制定した条例を拒否することもできる。ある意味で知事は、内閣総理大臣よりも強大な権限を行使できる政治権力をもっているといっていよい。かつて「ミスター円」と呼ばれた榊原教授が、一見畑違いの研究会を後押しするのは、「地方」にこそ停滞する日本経済の突破口があると喝破したからにほかならない。
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