サッカーW杯日韓大会終了とともに任期切れとなり日本代表監督を退いたフィリップ・トルシエ氏の後任に、7月22日、Jリーグ・鹿島アントラーズのジーコ総監督(テクニカルディレクター)が正式に就任した。ジーコ氏就任の背景には、その2日前に日本サッカー協会会長に就任した川淵三郎氏(前Jリーグチェアマンで前サッカー協会副会長)の強い後押しがあった。
川淵氏はW杯前の5月頃からポスト・トルシエとしてジーコ氏の名を挙げ、水面下で交渉していた。ジーコ氏を日本代表監督に招聘する案は過去にもあったが、年俸などの面で折り合わず実現しなかった。その意味では待望のジーコ監督実現といえるが、川淵氏の強い意向が反映されたことに批判の声もある。
ジーコ氏といえばサッカーファンでなくてもその名が知られた“サッカーの神様”だ。1953年リオデジャネイロ生まれで、ブラジルやイタリアのクラブチームでミッドフィルダーやフォワードとして活躍、W杯3大会に出場し5得点を挙げている。ブラジル代表選手としては89試合で66得点しているが、これはペレに次ぐ歴代2位の記録だ。日本でのプレーは91年、当時2部リーグだった住友金属(現鹿島)に入団したのが最初。Jリーグ発足後も鹿島でプレーし、技術面だけでなく、プロ意識をたたき込むなど精神的にも大きな影響を日本人選手に与えた。
トルシエ前監督についてはその戦術や采配、選手との接し方に対する批判がつきまとい、解任説が報じられたこともある。一方、ジーコ新監督はこれまで、母国ブラジル代表のテクニカルコーディネーターや鹿島の総監督の経験はあるものの、代表チームはもとより、クラブチームの監督として指揮した経験はない。いまのところ、新監督の初舞台は11月に予定されているアルゼンチン戦となるが、はたしてジーコ氏は日本代表に誰を選び、どんな戦術で彼らをピッチに送り出すのか。
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