アメリカの店頭株式市場(ナスダック)を運営するナスダック・ストック・マーケットが、日本進出計画を発表したのは1999年6月、ソフトバンクと組んでの鳴り物入りの進出は「黒船」と呼ばれたものだった。だが、2000年6月の取引開始から2年余り、株式相場の低迷により、ナスダックはあっさり日本撤退を決めた。
ナスダックの日本進出と同じ頃、多くの外資系投資会社が日本企業に買収攻勢をかけ始めた。標的となったのは、不況下、破綻するまいと必死になっている企業である。外資はこうした企業を二束三文で買いたたき、転売するというやり方で大きな利益をあげるため、しばしば「ハゲタカ」と呼ばれていた。とりわけ老獪な手法を見せつけたのは、米リップルウッド・ホールディングスだった。リップルウッドは資産10兆円の日本長期信用銀行をわずか1200億円で手に入れ、続いて宮崎県の巨大リゾート施設シーガイアや、日本コロムビアを格安で買収した。
外資は、日本企業に比べて目先の採算を重視するため、事業に見切りをつけるのも早い。投資会社のほかにも日本進出を図った企業は多いが、このところ縮小・撤退する例が相次いでいる。旧山一證券の社員と店舗の一部を引き継いだメリルリンチも、2002年に入って個人営業部門を大幅に縮小し、次々と支店を閉鎖した。
低迷する日本経済にとって、外資は両刃の剣だといえる。東証の土田社長の“狩猟民族”発言には、「日本市場がいいように食い荒らされるのではないか」という外資への警戒心がにじみ出ている。
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