今年2月、ベルリン映画祭で「千と千尋の神隠し」が金熊賞を受賞したことは、日本のアニメーションが実写映画と同じ土俵で勝負できる芸術作品に成長したことを裏づけた。だが、こと著作権に関していえば、漫画やアニメはいまだに“辺境”の著作物だといえる。
たとえば、誰が「著作者」なのか。現行の著作権法はアニメがまだ普及していなかった時代の産物なので、アニメの「著作者」を判定する際、実写映画の基準を適用するしかない。そのため、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の権利をめぐって争われている裁判の一審判決(今年3月)では、プロデューサーだった西崎義展氏が「著作者」として認定され、キャラクターや背景を描いた漫画家の松本零士氏は敗訴した。「あの作品の世界観をつくったのは私だ」と主張する松本氏側は当然納得せず、現在控訴中だ。
アニメに限らない。「誰が原作者か」をめぐって6年間も裁判が続いた「キャンディキャンディ」の例でもわかるように、漫画の著作権とは、じつにあやふやなものなのだ。
いまや漫画がデジタル化される時代。それはアニメにもゲームにも容易に姿を変え、インターネットで瞬時に世界中をかけめぐる。日本の誇る知的財産を守るためにも、現代にふさわしい著作権のあり方を見直すべき時期が来ている。
|
|