内閣改造で柳澤伯夫金融担当大臣が退任し、竹中平蔵経済財政担当大臣が金融部門も兼ねることになったのは、不良債権処理について政府がハードランディングを認めたことを意味する。竹中氏は不良債権処理のための「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」(座長=香西泰日本経済研究センター会長)を結成したが、その5人のメンバーの一人に木村剛KPMGフィナンシャル社長が選ばれたことがメディアの注目を浴びている。
木村氏といえば、昨年「大手30社問題」で話題になった日銀出身の金融コンサルタント。銀行と金融当局が口裏をあわせて大手問題企業の実態を隠しつづけていることが、不良債権問題をますます深刻なものにしている、というのが木村氏の主張である。とりわけ金融当局の認識の甘さを追及する舌鋒は鋭く、柳澤大臣らの国会答弁を詳細に検証した大著『粉飾答弁』(アスキー刊)を上梓したほどだ。
政府は今後、厳格な金融検査によって不健全銀行と問題企業をあぶり出し、断固として不良債権処理を進める姿勢を見せている。その過程では、大手問題企業の破綻と、大量の失業が生じることが予測される。竹中氏は「ダメな企業が市場から退場するのは資本主義の普通のルールだ」(10月5日、テレビ番組の録画取りで)と述べた。いま日本経済はハードランディングの「痛み」にどこまで耐えられるだろうか。10月7日、竹中氏と木村氏の発言をきっかけに、東京株式市場がバブル後最安値をさらに割り込んだ。
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