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この人の重大発言

写真 問題企業が退場せず、債権放棄を受けた企業が安売りするなど、デフレになりやすい状態をつくっている
木村 剛・KPMGフィナンシャル社長

政府の「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」のメンバーとして初会合を済ませた翌日の10月4日、広島市での講演で不良債権処理問題に触れて。

 内閣改造で柳澤伯夫金融担当大臣が退任し、竹中平蔵経済財政担当大臣が金融部門も兼ねることになったのは、不良債権処理について政府がハードランディングを認めたことを意味する。竹中氏は不良債権処理のための「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」(座長=香西泰日本経済研究センター会長)を結成したが、その5人のメンバーの一人に木村剛KPMGフィナンシャル社長が選ばれたことがメディアの注目を浴びている。
 木村氏といえば、昨年「大手30社問題」で話題になった日銀出身の金融コンサルタント。銀行と金融当局が口裏をあわせて大手問題企業の実態を隠しつづけていることが、不良債権問題をますます深刻なものにしている、というのが木村氏の主張である。とりわけ金融当局の認識の甘さを追及する舌鋒は鋭く、柳澤大臣らの国会答弁を詳細に検証した大著『粉飾答弁』(アスキー刊)を上梓したほどだ。
 政府は今後、厳格な金融検査によって不健全銀行と問題企業をあぶり出し、断固として不良債権処理を進める姿勢を見せている。その過程では、大手問題企業の破綻と、大量の失業が生じることが予測される。竹中氏は「ダメな企業が市場から退場するのは資本主義の普通のルールだ」(10月5日、テレビ番組の録画取りで)と述べた。いま日本経済はハードランディングの「痛み」にどこまで耐えられるだろうか。10月7日、竹中氏と木村氏の発言をきっかけに、東京株式市場がバブル後最安値をさらに割り込んだ。



関連論文

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私の主張
(2002年)いま不良債権最終処理をためらえば日本は「衰退の一〇〇年」に突入する
小林慶一郎(経済産業研究所研究員)
(2002年)不良債権は不況が原因。最終処理を進めれば、日本経済は破壊される
山家悠紀夫(神戸大学大学院経済学研究科教授)
(2002年)「躍動の一〇年」に向けて――我々が失業者一三万〜一九万と試算した根拠
西村清彦(東京大学大学院経済研究科教授)

議論に勝つ常識
(2002年)不良債権処理についての基礎知識
なぜ不良債権は増え続けるのか?
(2002年)構造改革と失業についての基礎知識
失業はどれくらい増えるのか? 政府の対策は?



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