11月30日、長野県の田中康夫知事は、「知事の任期を連続3期12年まで」とする条例を制定する方針を固め、12月5日、条例案を議会に提出した。長野県では戦後、知事の多選が続き、田中知事がようやく4人目の知事。多選が県政の硬直化を招いたという批判がかねてからあった。
全国を見渡すと、知事の世代交代が進む一方で、高齢・多選の知事も多い。最高齢・最多選は宮崎県の松形祐堯知事で、6期目、84歳。このほか、6期目の知事には大分県の平松守彦知事(78歳)と富山県の中沖豊知事(75歳)がいる。先日、3期目の知事選には出馬しないことを宣言した三重県の北川正恭知事は、「公の権力である知事は一般的に2期8年、長くて3期12年が適当だ」と述べていた。国会ではこれまでに3回、知事の多選禁止法案が提案されたことがあるが、いずれも廃案になった。地方自治体レベルでも、多選を規制する条例が成立した例はない。憲法で定められている職業選択の自由に抵触するというのが、その最大の反対理由である。したがって、長野県の多選自粛条例案も、あくまで「自粛」であって「禁止」はしないことになっている。
しかし、多選を拒むかどうかは住民が決めることであって、条例で規制すべきものではない、という意見もある。その代表が埼玉県の土屋義彦知事だ。土屋知事は現在3期目だが、次期(2004年)知事選に意欲を見せている。現在76歳だから、3期目の任期満了時には80歳を超える。「知事になって痛感したことは、1期や2期では、何も仕事ができないということだ。死んでもやるというぐらいの勢いがなかったらできない」と記者団に持説を披露し、田中知事の提案を皮肉った。
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