12月17日、日本経団連は「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)を発表、2003年春闘では賃下げが避けられないとの認識を示した。日本経団連が春闘の経営側方針として賃下げに言及したのは初めてのことである。
日本経団連の前身の日経連は、2002年の春闘に際し、「賃上げは論外」としてベースアップ(賃金基準の引き上げ)見送りを打ち出していたが、1年後の今回は、さらに一歩踏み込んで、「雇用を維持する代わりに賃金は下げるという選択に迫られる企業も多数生じるだろう」「定期昇給の凍結・見直しも交渉の対象」と、厳しい見通しを示した。
日本経団連の春闘指針を労組との交渉に使えば、企業経営者は賃下げがしやすくなる。当然、連合の反発は激しかった。定期昇給だけは譲りたくない連合は、「定期昇給の凍結は日本企業の秩序を崩壊させる」「個人消費を停滞させ、デフレに歯止めがかからなくなるのは間違いない」と反論に躍起だ。連合の笹森会長は、「デフレの時代だから賃下げもやむをえない」と経労委報告を追認した小泉首相にも矛先を向け、「賃金交渉は労使の問題。首相といえども軽々に発言すべきでない」と斬って捨てた。
だが、連合の闘いは敗色が濃い。政府の予想では2003年度の完全失業率は5.6%、「雇用維持の代わりに賃下げ」が現実になりつつある。経労委報告は「労組が賃上げ要求を掲げ、実力行使を背景に闘う『春闘』は終焉した」と宣言している。
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