今週の必読・必見
日本を読み解く定番論争
日本の論点PLUS
日本の論点PLUSとは?本サイトの読み方
議論に勝つ常識一覧
執筆者検索 重要語検索 フリーワード検索 検索の使い方へ
HOME 政治 外交・安全保障 経済・景気 行政・地方自治 科学・環境 医療・福祉 法律・人権 教育 社会・スポーツ
この人の重大発言

写真 日本経団連は賃金コストにこだわって、雇用維持という経営責任を忘れている。笑止千万だ
笹森 清・連合会長

12月20日の記者会見で、日本経団連が春闘指針ではじめて賃下げの可能性に言及したことを批判して。

 12月17日、日本経団連は「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)を発表、2003年春闘では賃下げが避けられないとの認識を示した。日本経団連が春闘の経営側方針として賃下げに言及したのは初めてのことである。
 日本経団連の前身の日経連は、2002年の春闘に際し、「賃上げは論外」としてベースアップ(賃金基準の引き上げ)見送りを打ち出していたが、1年後の今回は、さらに一歩踏み込んで、「雇用を維持する代わりに賃金は下げるという選択に迫られる企業も多数生じるだろう」「定期昇給の凍結・見直しも交渉の対象」と、厳しい見通しを示した。
 日本経団連の春闘指針を労組との交渉に使えば、企業経営者は賃下げがしやすくなる。当然、連合の反発は激しかった。定期昇給だけは譲りたくない連合は、「定期昇給の凍結は日本企業の秩序を崩壊させる」「個人消費を停滞させ、デフレに歯止めがかからなくなるのは間違いない」と反論に躍起だ。連合の笹森会長は、「デフレの時代だから賃下げもやむをえない」と経労委報告を追認した小泉首相にも矛先を向け、「賃金交渉は労使の問題。首相といえども軽々に発言すべきでない」と斬って捨てた。
 だが、連合の闘いは敗色が濃い。政府の予想では2003年度の完全失業率は5.6%、「雇用維持の代わりに賃下げ」が現実になりつつある。経労委報告は「労組が賃上げ要求を掲げ、実力行使を背景に闘う『春闘』は終焉した」と宣言している。




関連論文

筆者の掲載許可が得られない論文はリンクしていません。
99年以前の論文は随時更新中です。ご了承ください。

私の主張
(2002年)「躍動の一〇年」に向けて――我々が失業者一三万〜一九万と試算した根拠
西村清彦(東京大学大学院経済研究科教授)
(2001年)いま必要なのは「雇用維持」ではなく「雇用を創り出す」経営者である
米倉誠一郎(一橋大学商学部教授、一橋大学イノベーション研究センター長)
(2001年)将来、労働力不足は必至。企業はいま踏ん張って長期雇用を保証せよ
伊丹敬之(一橋大学商学部教授)
(2000年)まず経営陣自ら賃下げを含むリストラを断行し、現場の雇用を守るべし
森永卓郎(三和総合研究所主席研究員)
(2000年)失業率の上昇を恐れるな。たゆまぬ企業の組織改革が新たな雇用を創出する
グレン・S・フクシマ(アーサー・D・リトル(ジャパン)社長・在日米国商工会議所会頭)

議論に勝つ常識
(2002年)構造改革と失業についての基礎知識
失業はどれくらい増えるのか? 政府の対策は?
(2001年)雇用における日米の経営の違いを知るための基礎知識
(2000年)失業率上昇の現状と対策を検討するための基礎知識



バックナンバー


▲上へ

Copyright 2002 Bungeishunju Ltd.