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議論に勝つ常識
2005年版
[法定外税についての基礎知識]
自治体の自主課税権はどこまで認められるのか?


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財政難克服のためのアイディア
 各地の自治体は新税のほかにも様々なアイディアを凝らして財政難克服に躍起だ。なかでも民間企業出身首長の活躍が目立つが、その一人、兵庫県小野市の蓬莱務市長は自動車部品メーカーの出身で、九九年に市長に就任。就任直後に入札改革を断行し、予定価格に対する平均落札率は九二%から七〇%前後に下がった。さらに、自ら営業本部長と称し、企業誘致のため全国の企業を飛び回る。市長のトップセールスで、工業団地と流通団地の成約率は九九%に達している。
 業務の外部委託で経費節減をはかる自治体も多い。愛知県高浜市役所の窓口にいる女性たちはすべて高浜市が一〇〇%出資する株式会社・高浜市総合サービスの社員である。窓口業務以外にも公用車のリース、運転、公共施設の管理、ビルの清掃など委託業者は四四業種に及ぶ。外部委託の導入により高浜市は五年間で職員数を二五%以上減らした。市の試算では、市の職員がそのまま業務を続けた場合と比較して〇三年度で約三億七〇〇〇万円の経費削減につながったという。
 究極のアイディアともいえるのが「寄付金」の創設である。北海道のニセコ町は、〇四年九月、全国から使途を限定した寄付金を募り、まちづくりに使う「町ふるさとづくり寄付条例」を制定した。寄付条例としては長野県泰阜村に続き全国で二例目である。町民だけでなく、町外在住でニセコに興味のある“第二の町民”からも寄付金を募り、「森林保全」や「環境や景観の維持・再生」など五つの使い道から一つを選択してもらう。
 福祉施設の建設資金の不足分を地元住民から無利子長期借り入れでまかなうのは北海道の留辺蘂(るべしべ)町である。知的障害者更生施設の建設資金の不足分七五〇〇万円を町民らから一〇年間無利子で借り、町は一〇年にわたって、毎年七五〇万円ずつ積み立て、一〇年後に七五〇〇万円を融資した人に返済する。発案した同町の中川功収入役は〈高金利は昔の話。自分のお金が有効に使われるなら、金利はなくても構わないという住民が確実にいる〉(日本経済新聞〇四年四月二七日付)という信念があったという。実際、銀行に預けていても無利子同然だけに「自分のお金で施設ができればこんな嬉しいことはない」という町民が多く、申し込みは予定を軽く上回った。

図表 環境税をすでに導入、または導入を検討している主な県


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論 点 自主課税に問題はないか 2005年版

私の主張
特定の者を狙い撃ちする自治体の法定外税に法的疑義あり
中里 実(東京大学大学院法学政治学研究科教授)


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