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この人の重大発言

写真 「日本語の『もったいない=MOTTAINAI』は、消費削減(リデュ―ス)、再使用(リユース)、資源再利用(リサイクル)、修理(リペア)の4つの『R』を表わしている。環境保護の合言葉としてみんなで唱和しよう」 (産経新聞3月5日付)
ワンガリ・マータイ=ケニア環境副大臣

3月4日、国連の「女性の地位委員会」閣僚級会合で演説したさい、2月に訪れたときに日本で知った「もったいない」という言葉を国際語として広めようと提案した。


 ケニアのワンガリ・マータイ環境副大臣は、2月16日、「京都議定書」(地球温暖化防止のため先進国に温室効果ガス削減を義務付けた)発効記念行事に出席するために来日、小泉首相を表敬訪問した折、首相に日本語の「もったいない」という言葉に感銘を受けたことを話し、「プラスチックが一度使っただけで廃棄されるなど、アフリカでは多くの『もったいない』例がある。『もったいない』という概念を世界に広げたい」と約束した。冒頭の発言は、国連の演説の一部だ。

 ワンガリ・マータイさんは、1940年生まれ。ナイロビ大学で、東アフリカ出身の女性として初めての博士号を取得した。77年、有志とともにNGO「グリーンベルト運動」を創設、植林運動を続けながら、貧しい人々の社会参加や女性の地位向上などケニアの民主化に取り組んできた。現在、ケニア全土にある苗床は、約1500カ所。苗木は3000万本。約8万人が植林に参加している。2002年、国会議員に当選、03年には環境副大臣に就任し、これまでの活動に対して04年度のノーベル平和賞を受賞している。

 国連での演説で、マータイ環境副大臣は、「限りある資源を有効に使い、みなで公平に分担すべきだ。そうすれば、資源をめぐる争いである戦争は起きない」と強調し、京都議定書を批准せず、温室効果ガスを大量に排出している米国や、途上国扱いで削減義務を免れている中国を名指しして、その不公平な現状を批判した。

 評論家で台湾出身の金美齢氏は、この「もったいない発言」について、「興味深い発言だ」としたうえで、この言葉には(1)日本人の、自然の恵みを無駄にすることを冒涜(ぼうとく)とする、畏れの念が込められている、(2)万物に霊魂を感じる日本独特のアニミズムの感覚をみる――というユニークな含蓄がある、と評価した。その反面、「中国人は自分の懐(ふところ)が痛むのでない限り、自然の乱用や公共資産の浪費を気にする感覚は希薄だ」と指摘し、日中両国がこうしたことについては対照的な考えを持っていることを紹介した(産経新聞、3月6日付)。



関連論文

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私の主張
(2004年)二酸化炭素削減は本当に役立つか――「温暖化の常識」のウソを徹底検証
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(2003年)企業努力で議定書の達成は困難。排出権取引の活用と新制度の樹立を
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(2002年)「とにかく批准を」では地球環境は守れない――運用則で現実論を尽くせ
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議論に勝つ常識
(2004年)[地球温暖化についての基礎知識]
[基礎知識]京都議定書の発効で温暖化が防止できるか?
(2003年)京都議定書と排出権取引についての基礎知識
[基礎知識]CO削減のための排出権取引とはどんな方法か?
(2002年)地球温暖化防止についての基礎知識
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