中山文部科学相は、就任以来、教育現場で生の声を聞くことで教育行政に活力を与えようと、各地でスクールミーティングを開催している。今回は、中学生から「学校は勉強するところなのに、総合的な学習のせいで、学校外で勉強することが多い」「小学校でゆとり教育を受けて教科書が薄くなり、また戻っている。将来、ぼくたちだけ学力が劣ってしまうのではないか」などの厳しい質問が出た。これに対し、中山文科相は「塾に行かずに学校だけで勉強した人は、知識の量が少ないかもしれない。それは本当に申し訳なかった」と謝罪した。
ゆとり教育の見直しが論議され始めた2003年の1〜2月頃、「全国学力テスト」(教育課程実施状況調査)が行われたが、その結果が4月22日に公表された。今回は学習内容を約3割削減したゆとり教育のもとでの学習達成度を調査しただけに注目された。前回(2002年1〜2月)と同じ問題では、約4割の問題で正答率が上回り、学力改善の兆しがうかがえた。しかし、国語の記述式問題では正答率が低く、昨年の国際調査で指摘されたのと同じ弱点が浮き彫りになった。この結果について、中山文科相は、記者会見で「学力低下傾向に若干の歯止めがかかった。しかし、安心はできない。緊張感、スピード感を持って教育改革に取り組む」と、ゆとり教育の見直しに改めて意欲を見せた。
文部省が知識偏重の「詰め込み教育」を改めるため、「ゆとり教育」を学習指導要領に採用したのが1977年。子どもの自主性や生きる力を伸ばす目的で授業時間数を減らした。98年の改定では、総合的な学習や学校週休5日制を導入、教科内容の削減も行われた。しかしその後、学力の低下が目立ち始め、父兄の間からもゆとり教育の見直しを求める声が強まり、中山文科相は2月15日、基本的教科の充実などゆとり教育見直しについて中央教育審議会に秋までに答申するよう求めていた。
|
|