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この人の重大発言

写真 「総裁(任期)の規定は重く、来年9月の後は考えていない。(中略)今から準備をして研鑽を積み、心構えも固め、改革をさらに進める情熱を持った方に後の総裁になってほしい」 (毎日新聞9月13日付)
小泉純一郎・内閣総理大臣

9月12日、自民党単独で絶対安定多数を超える296議席の歴史的勝利を得た衆院選の結果を踏まえ、党本部で記者会見した。


 自民党は、郵政民営化に反対した議員を公認しなかったため、公示前には212議席になった。しかし、小泉首相が争点を郵政民営化の一点にしぼり、「改革を止めるな」のスローガンに象徴される単純、明快な主張を訴えた結果、84議席を増やし296議席と圧勝した。

 衆院の安定多数(252議席)はおろか、絶対安定多数(262議席)を超えるという大量の議席を獲得したのは、池田内閣のとき(296議席、1960年11月)と中曾根内閣のとき(300議席、86年7月)以来だ。これで自民党は、憲法上(59条)の規定で、参院で否決された法案を衆院で再議決するのに必要な「出席議員の3分の2以上の賛成」の、いわゆる「3分の2条項」を、連立相手である公明党31議席の協力を得ればクリアできることになった。89年以来、参院で自民党が過半数を失ったことでできた「参院の壁」がこれでなくなった。

 歴史的大勝利を成し遂げた小泉首相を、自民党内では早くも「中興の祖」と賞賛する声も出始めた。今回の選挙の結果を小泉首相は「郵政民営化が暴論ではなく、正論になった」と強調したが、冒頭発言のように、取り沙汰される任期延長論を明確に否定した。これで党内外の関心は、ポスト小泉、つまり後継者争いに移った。

 これに対し、小泉首相は、「意欲を持っておられる方がかなりおり、できるだけ活躍の場を与えたい」と、特別国会閉会後の10月下旬にも行う党・内閣人事で後継候補を登用する考えを示した。首相自身がレームダック(死に体)の声を払拭し、事実上のキングメーカをー宣言したといってよい。残りの任期1年で、後継者の指名権という影響力を持つことになったのだ。86年の衆参同日選挙で当時の中曽根首相が衆院で300議席を獲得した功績から総裁任期を1年延長したことがあるが、小泉首相はその前例を踏襲しなかった。「惜しまれて引退する美学」(首相周辺)を優先させたといわれる。

 いまのところ、ポスト小泉の後継候補としては、安部晋三幹事長代理、谷垣禎一財務相、麻生太郎総務相、福田康夫前官房長官らの名前が挙がっている。しかし、これだけの大勝利を呼び込んだ小泉首相が額面通りに辞任するとは考えられないという識者も多い。ジェラルド・カーティスコロンビア大学教授(日本政治専攻)は、「(本人は)本当に辞めるつもりでいるが、あと3年は続けるべきで、辞められないと思う。自民党は必死に説得するでしょうし、彼自身の意見が変わる可能性があると思う」という(毎日新聞9月13日付)。森前首相も「辞めようと思っても、首相のドラマのカーテンコールが続いている」と任期延長もありうるとしている(読売新聞9月14日付)。



関連論文

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(2005年)理想の政治家は「すべき論」と「できる論」の緊張関係のはざまで屹立する
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(2005年)日本政治の新しい流れ
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