今週の必読・必見
日本を読み解く定番論争
日本の論点PLUS
|日本の論点PLUSとは?|本サイトの読み方|
議論に勝つ常識一覧
執筆者検索 重要語検索 フリーワード検索 |検索の使い方へ|
HOME 政治 外交・安全保障 経済・景気 行政・地方自治 科学・環境 医療・福祉 法律・人権 教育 社会・スポーツ
この人の重大発言

写真 「改革を続行させていきたいと思い、適材を適所に起用した。政策金融改革、公務員の総人件費改革などにより、政府の規模を大胆に縮減する」
(読売新聞11月1日付)
小泉純一郎・内閣総理大臣

10月31日夜、組閣を終えて、記者会見と初閣議で、第3次小泉改造内閣の狙いや基本方針を明らかにした。


 小泉首相は、「改革続行内閣」と自身が命名したように、6回目となる今回の組閣は、いわゆるサプライズ人事が影をひそめ、実務者中心の布陣が敷かれた。そして、かねてから公言していたとおり、ポスト小泉の有力候補者たちを改革を競わせるかたちで要所に配している。その反面、人事全体では論功行賞の色合いが濃くなったのは否めない。このため、処遇されなかった自民党の派閥からは強い反発が起き、来年9月までの期限付き内閣の前途は、必ずしも平坦ではなさそうだ。

 ポスト小泉をうかがう麻生太郎総務相は外相に横滑りし、谷垣禎一財務相は留任、安倍晋三幹事長代理は官房長官として初入閣を果たした。いっぽう、ブレーンの竹中平蔵郵政担当相は総務相を兼務することになり、与謝野馨政調会長が経済財政・金融担当相、二階俊博総務局長が経済産業相、額賀福志郎氏が防衛庁長官にそれぞれ起用された。しかし、後継候補のひとりであったはずの福田康夫元官房長官と、首相の盟友だった山崎拓前副総裁は、党・内閣のいずれの要職にもつかなかった。

 小泉首相が初閣議で示した政策課題の基本方針は、冒頭の改革のほかに、2007年10月からの郵政民営化の実施や三位一体改革、社会保障制度改革、アスベスト対策、米軍再配置実現への協力だ。首相は、会見ではこのうち、「問題が山積しているが、国民が一番関心を持っているのは年金、医療を含めた社会保障改革。持続可能な制度にするため負担を、どう分かち合うかだ」と強調した。しかし、厚生労働相に起用したのは議院運営委員長だった川崎二郎元運輸相で、厚生行政には素人だ。しかし、川崎氏は谷垣財務相の直系であることから、財務、厚労両省に一体となって懸案の解決にあたらせる狙いがあると考えられる。また首相自身、厚相経験者で、安倍官房長官と長瀬甚遠官房副長官もともに厚生族議員だったことから、官邸主導で取り組む方針とみられる。

 新内閣が直面する政策課題について、担当大臣はそれぞれ意欲を示した。谷垣財務相は消費税引き上げの必要性を認めて07年の国会に法案を出すことを明言し、竹中総務相は「小さな政府担当大臣」と自らの役割を鮮明にした。また、与謝野経済財政相は喫緊の課題である政策金融機関の統廃合について「自民党が想像しているより進む」と発言した。だが、二階経済産業相は「経済財政諮問会議が何もかも取り仕切るのはいかがなものか」と小泉ブレーン主導の経済政策に疑問を示し、早くも不協和音が出そうな雰囲気だ。

 下馬評にあがっていたいわゆる小泉チルドレンの初当選組からは、猪口邦子氏が少子化対策・男女共同参画担当相に抜擢されたのが目を引いたが、長年にわたり入閣が見送られていた当選9回の中馬弘毅氏が行政改革担当相、参院当選4回の沓掛哲男氏が防災担当相として初入閣した。しかし、旧堀内、山崎、高村の各派閥には強い不満が残ったのは、こうした従来型の人事にもかかわらず、自派からの入閣がゼロだったからだ。留任した武部勤幹事長に直接文句を言ったり、会見で不平不満を露わにした幹部がいた。

 小泉改造内閣について、かつて細川内閣で首相秘書官を務めたこともある成田憲彦駿河台大学副学長(日本政治論)は、「今回の人事のテーマは王朝の継承。大切なことは、継承の規準、つまり継承者が何によって正統性を付与されるかというと、王朝への忠誠心と結束力だ。小泉首相は、改革を政権継承の正統化原理に仕立て上げ、忠誠度が測られた。かつては、前政権で軽視されたり、実現されなかった政策テーマを目指す者に政権が受け渡される『振り子の論理』が継承原理だった。自民党50年の歴史の中では特異なことだ」と、今回の特徴を指摘している(読売新聞11月1日付)。



関連論文

筆者の掲載許可が得られない論文はリンクしていません。
96年以前の論文については随時追加していきます。ご了承ください。

◆ 私の主張
(2005年)独立国家としての矜持を持ち、日本伝統の「共生の思想」を世界に発信せよ
額賀福志郎(衆議院議員)
(2005年)理想の政治家は「すべき論」と「できる論」の緊張関係のはざまで屹立する
中川秀直(衆議院議員、自民党国会対策委員長)
(2005年)構造改革以後――リーダーには文明の方向を定める能力が必要である
谷垣禎一(財務大臣)
(2005年)日本および日本人とは何かを個人がもう一度問い直す――教育こそ最優先課題
中川昭一(経済産業大臣)
(2005年)確たる信念を持ち、たじろがず、リスクを負う覚悟で臨む。それが決断力の要諦
安倍晋三(衆議院議員、自民党幹事長代理)
(2005年)「少子社会」を改革の前提にし、能力と意思ある人々を結集すべきとき
野田聖子(衆議院議員)
(2005年)自己を犠牲にして社会に尽くす強い意志だけが「日本の丸洗い」を可能にする
野田佳彦(衆議院議員)
(2005年)本当の命すら捨てる覚悟があるサムライになり、「尊厳ある日本」を実現したい
前原誠司(衆議院議員)
(2005年)痛みを伴う政策が必要な時代。リーダーには徹底した透明性が求められる
田原総一朗(ノンフィクション作家)
(2001年)「いまを我慢して明日をめざす」精神の復活こそ日本改造一〇年計画の礎
小泉純一郎(衆議院議員)
(2001年)「失われた二〇年」を阻止せよ。いまこそニュー・リベラルの改革を
鳩山由紀夫(衆議院議員、民主党代表)
(2001年)「非同盟」「国民生活中心」「民主主義」の旗の下、民主連合政府を樹立する
志位和夫(衆議院議員・共産党書記局長)
(2001年)リーダーたちよ! 漂流する“頭のない鯨”日本の現実を直視せよ
田原総一朗(ノンフィクション作家)

◆ 議論に勝つ常識
(2005年)日本政治の新しい流れ
日本政治の新しい流れ
(2001年)政党の離合集散とリーダーの志向を知るための基礎知識



|バックナンバー|


▲上へ

Copyright Bungeishunju Ltd.