ますます強まるバブル懸念に対し、中国政府は二〇〇四年四月から本格的に過熱抑制に動き出した。四月二六日、党中央政治局会議が開かれ、マクロコントロール強化、過熱抑制、生産性の向上を主な内容とする経済運営方針が正式に決定された。 党執行部のこの方針に基づき、中国政府は過熱抑制のための一連の行動に乗り出した。四月二七日、国務院は過熱分野の投資案件の自己資本金比率引き上げを決め、鉄鋼分野は既存の二五から四〇パーセントへ、セメント、電解アルミ、不動産三分野は二〇から三五パーセントへそれぞれ引き上げた。翌日、温家宝首相が、江蘇省常州市鉄本プロジェクトの建設中止、関係責任者の処分を命じ、過熱抑制の行政命令を発動。 さらに国務院が各地方政府に対し通達を出し、建設中か計画中の鉄鋼、電解アルミ、セメント、政府機関オフィスビル、都市モノレール、ゴルフ場、ショッピングセンターなど関連投資案件、および二〇〇四年のすべての新規投資案件を全面的に審査し、中央政府の規定に適わない案件を中止させるよう指示した。実際、二〇〇四年八月末まで全国各地の新規投資案件四一五〇件が政府の行政指導によって中止させられた。 金融当局(中銀)も二〇〇四年から過熱抑制に向けて一連の金融引締め政策をとってきた。たとえば、二〇〇四年に入って一カ月のうちに預金準備率の引き上げを二回も実施した(三月二五日と四月二五日)。 公定歩合も二・七〇から三・三三パーセントへ引き上げた。鉄鋼、セメント、電解アルミ、不動産分野への銀行貸し出し規制にも乗り出した。今後、インフレ率の上昇とマクロコントロールの効果を見ながら、場合によっては金利の引き上げも視野に入れる。
|