では、中国経済は今後も高成長を維持できるのだろうか。野村資本市場研究所の関志雄主任研究員は、次のように予測する。〈不動産などの資産価格も上がり、一九八〇年代後半の日本にも似たバブルが生じている。特に固定資産投資は一―三月期に前年同期比で四三%も増えている。多くの日本の経営者が持っている「二〇〇八年の北京五輪まで年九%の成長が続くだろう」という考え方は間違っている。一度も調整局面がないとは考えられない。最悪の場合は九〇年代の日本のバブル崩壊のような事態もあり得る〉(日本経済新聞〇四年六月三日付)。 固定資産投資とは政府の公共事業や官民の不動産建設投資である。対前年比伸び率で見ても二〇〇〇年の一〇・三%が〇三年は二六・七%にまで急伸している。GDP成長率をはるかに上回る活発な不動産投資は、北京五輪とその二年後に予定されている上海万国博覧会に向け、高速道路建設などのインフラ整備が急ピッチで進められ、同時に上海、北京などの主要都市部で建設ラッシュが続いているからだ。丸紅経済研究所の調べでは、中国の不動産業者による分譲住宅の販売面積は〇一年には一万九九三九平方メートルと一〇年間で七倍に増え、住宅建設コストも二・五倍に急騰している。また、毎日のように古い街区が取り壊され、高層マンションやオフィスビルに建て替わる陰では、地上げ屋も暗躍しているという。さらに九四年から個人住宅ローンが認められた銀行も、融資基準を甘くして(年収七〇万円で一〇〇〇万円を融資)、積極的な融資を行ってきた。中国人民銀行(中央銀行)によれば、中国国内商業銀行の不動産関連貸し出しは九八―〇二年の四年間で四・八倍に急増している。たしかにバブル期の日本と酷似した状況である。 こうした状況に対して、香港駐在の重並朋生みずほ総研上席主任研究員は、「今後も住宅市場の過熱にブレーキが掛からず、将来バブルが弾けた場合には、不動産ディベロッパー向け貸し出しが不良債権化する危険もある」(読売新聞〇四年二月二三日付)と警鐘を鳴らしている。
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