「フリーター」とは、「フリーアルバイター」を略した和製英語。とくに定義はないが、厚生労働省の調査では、15〜34歳の男女で、パートかアルバイト待遇の雇用者(男子は継続就業年数5年未満、女子は未婚)、および現在無職でパートかアルバイトを希望する人を対象としている。現在、フリーターは全国に200万人。その増加の背景には、若者の就職意識の変化があるといわれてきた。学校を卒業すれば会社に就職するものだ、という固定観念がくずれてきたというわけだ。だが、それに異論を唱えたのが学習院大学の玄田有史教授(現・東京大学助教授)だった。不況下、中高年の雇用を守ることが優先されているため、新卒者がしわ寄せを受けている、というのが玄田説だ。事実、高校新卒者の求人は、ここ10年で7分の1に減っており、就職したくてもフリーターになるしかないのが実情だ。
玄田氏の提言につづいて、「フリーター亡国論」ともいうべき辛口の論評が登場した。中心になったのは日本労働研究機構の小杉礼子主任研究員らで、フリーターの増大は社会的な弱者を増やし、社会保障制度を成り立たなくさせる、というのだ。そのベースには、同機構が行った詳細な実態調査がある。フリーターの年収は正社員の約半分。そして、フリーター経験が長くなればなるほど、正社員への転換はしにくくなる。責任ある仕事を任せてもらえず、昇進もできない。
増えつづけるフリーターを、いかにして責任ある社会の構成員にしていくか、議論はまだ始まったばかりである。
検索バーの「重要語検索」または「フリーワード検索」で「フリーター」を検索すれば、以下の論文がヒットする。どれもフリーターを語るのに欠かせない論文だ。さらに議論を深めたければ、「パラサイト・シングル」や「ひきこもり」の検索を。
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