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今週のキーワード−小論文に使えるマル得キーワード−
フリーター
2003.04.10 更新
「フリーター」とは、「フリーアルバイター」を略した和製英語。とくに定義はないが、厚生労働省の調査では、15〜34歳の男女で、パートかアルバイト待遇の雇用者(男子は継続就業年数5年未満、女子は未婚)、および現在無職でパートかアルバイトを希望する人を対象としている。現在、フリーターは全国に200万人。その増加の背景には、若者の就職意識の変化があるといわれてきた。学校を卒業すれば会社に就職するものだ、という固定観念がくずれてきたというわけだ。だが、それに異論を唱えたのが学習院大学の玄田有史教授(現・東京大学助教授)だった。不況下、中高年の雇用を守ることが優先されているため、新卒者がしわ寄せを受けている、というのが玄田説だ。事実、高校新卒者の求人は、ここ10年で7分の1に減っており、就職したくてもフリーターになるしかないのが実情だ。

 玄田氏の提言につづいて、「フリーター亡国論」ともいうべき辛口の論評が登場した。中心になったのは日本労働研究機構の小杉礼子主任研究員らで、フリーターの増大は社会的な弱者を増やし、社会保障制度を成り立たなくさせる、というのだ。そのベースには、同機構が行った詳細な実態調査がある。フリーターの年収は正社員の約半分。そして、フリーター経験が長くなればなるほど、正社員への転換はしにくくなる。責任ある仕事を任せてもらえず、昇進もできない。

 増えつづけるフリーターを、いかにして責任ある社会の構成員にしていくか、議論はまだ始まったばかりである。

 検索バーの「重要語検索」または「フリーワード検索」で「フリーター」を検索すれば、以下の論文がヒットする。どれもフリーターを語るのに欠かせない論文だ。さらに議論を深めたければ、「パラサイト・シングル」や「ひきこもり」の検索を。



関連論文

筆者の掲載許可が得られない論文はリンクしていません。
96年以前の論文については随時追加していきます。ご了承ください。

私の主張
(2003年)フリーター増加を放置すれば社会の後継者を育てるシステムは崩壊する
小杉礼子(日本労働研究機構主任研究員)
(2001年)「自立は損」という社会システムがパラサイト・シングルを生む
山田昌弘(東京学芸大学助教授)
(2001年)パラサイト・シングルの増加は若者でなく企業にこそ原因がある
玄田有史(学習院大学経済学部教授)
(2001年)ただ「他人に使われたくないから」というだけの起業は失敗する
廣江 彰(立教大学教授)

議論に勝つ常識
(2003年)若者の働き方を知るための基礎知識
[基礎知識]若年失業者が急増する社会的背景とは?
(2001年)パラサイト・シングルが増える原因を探るための基礎知識
(2001年)就職超氷河期の学生の選職意識を探るための基礎知識



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