滋賀県では、4月から琵琶湖での外来魚(ブラックバスやブルーギル)の再放流を禁止する条例を施行している。この「琵琶湖レジャー利用適正化条例」をめぐっては大きな論争があり、可決後もバス釣り愛好家のタレント、清水国明さんらが条例の無効を求めて滋賀県を訴えるなど、問題が尾を引いている。
バス釣りはそもそもアメリカで始まったスポーツで、資源保護のため、食べずに再放流(キャッチ・アンド・リリース)するのが一般的なルール。1925年、実業家の手によって日本最初のブラックバスがアメリカから芦ノ湖に移植されたときは、「釣って楽しく、食べておいしい魚」として歓迎されたが、やがて食べずに再放流する方式が定着した。それとともに、バスが在来魚を食い荒らす被害が大きな問題になってきた。
現在では、多くの自治体がバスの移入・持ち出しを禁じているが、バス釣り愛好家による密放流がやまず、バスの被害は全国に広がっている。
琵琶湖の場合、1974年にはじめてブラックバスが確認されたが、以来、特産のフナずしの材料となるニゴロブナなど在来魚が激減した。滋賀県の試算によれば、琵琶湖のブラックバスとブルーギルが1年間に食べる在来魚やエビは、それらの年間漁獲量の3倍に上るという。
バス釣り愛好家の団体はこれに猛反発、外来魚が在来魚の減少や稀少種の絶滅をもたらしているという事実は証明されておらず、むしろ環境汚染こそが最大の原因だ、と主張している。
バス論争の経緯と双方の主張については、下記の論文と基礎知識にくわしい。
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