税源移譲とは、国税として徴収してきたのを地方税に移管することをいう。これまで国は、税収の一部を地方交付税や補助金のかたちで地方に再配分してきた。豊かな地域と貧しい地域の格差を調整するという政策だったが、それが逆に地方の自主性を奪い、中央依存の体質を生んだという反省から、1990年代以降、抜本的な改革の機運が高まった。
2000年4月の地方分権整備法施行は、その大きな節目となった。これによって、機関委任事務(国が地方自治体に代行させる事務。パスポートの発給から飼い犬の登録まで、500以上あった)が廃止され、地方は実質的な“自治”への一歩を踏み出したことになる。
だが、税源の多くを国が握っているかぎり、地方は完全な自立はできない。そこで、税源移譲、地方交付税の見直し、補助金の見直しの3つを同時に進めようというのが、小泉首相の唱える「三位一体の改革」である。「三位一体」というが、3つを同時に行うのは容易ではない。この問題については、首相の3つの諮問機関(地方分権推進会議、地方制度調査会、経済財政諮問会議)が取り組んでいるが、税源移譲を進めたい総務省と、国税を手放したくない財務省の思惑もからんで、3つがまったく違う立場をとっている。5月に入って地方分権推進会議が税源移譲を先送りする案を立てると、地方制度調査会は激しく反発、現在6:4になっている国税と地方税の割合を1:1にすべきだという意見書をまとめた。
税源移譲については下記の論文と基礎知識が参考になる。さらに、重要語検索の「地方分権」「地方交付税」でヒットする論文を読めば、ここ10年にわたる地方財源問題の全容がわかる。
とりわけ、莫大な負債を抱えて破綻した赤池町の実態報告(わが自治体の実験――財政再建団体に転落して可能になった必死の改革)は、地方自治体の直面している財政危機を示唆して興味深い。
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