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憲法改正手続き
2004.01.29 更新
自民党の中川秀直国対委員長は、1月25日のNHKの報道番組で、憲法改正のための国民投票法案の今国会提出に強い意欲を表明した。そのなかで中川氏は「来年(2005年)以降、憲法改正の議論が進んでいくので、先行して手続きの議論をしておくべきだ」と強調した。また、小泉首相も、21日の衆院代表質問の答弁で、「憲法改正は自民党1党だけで、というこだわりはない。民主党には共通の理念を持っている人々も多数いるようだ。民主党とも十分協議して国民のさまざまな意見を聞き、新しい時代に対応できる憲法改正ができればと期待している」と、自民、民主両党の協調による憲法改正の考えを示した。
憲法改正、とりわけ改正に必要な手続きを定める国民投票法案と国会法改正案をめぐる議論は、改正に積極的な小泉首相が、昨年11月の衆院選の選挙公約に「自民党立党50年を迎える2005年に憲法草案をまとめる」との文言を盛り込んだことで弾みがついた格好だ。いっぽう衆参両院に設置(2000年1月)されている憲法調査会は、来年1月に最終報告をまとめる予定で、共産、社民の両党を除く超党派の議員約300人が参加する憲法調査推進議員連盟も、すでに両法案を作成済みだ。さらに中山太郎同議連会長(衆院憲法調査会会長)が「憲法に改正手続きの規定があるのに、国民投票を実施する法律がないのは国会の不作為で、国民が権利を行使できないことを意味する」と発言、"改憲は趨勢"とする動きを後押ししている。
日本国憲法(1947年5月3日施行、103条で構成)は、第96条1項で「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」と、改正手続きを規定している。
肝心の国民投票をどう実施するのかという方法が放置されてきたのは大きいが、「3分の2」と「過半数」という2つの規定が、半世紀余の間、憲法改正を阻むもうひとつのハードルとなっていたのも事実だ。諸外国の憲法、たとえばドイツ基本法がこれまで51回改正されるなど、必要に応じて頻繁に改正されているのに対して、日本国憲法が「不磨の大典」とか「硬性憲法」と呼ばれてきたのは、その改正の困難さに理由がある。
憲法調査推進議連が作成した国民投票法案は、有効投票総数の2分の1を超す賛成が承認の要件で、投票は発議から60日以降90日以内に行う、としている。また国会法改正案は、憲法改正原案の提出要件を、衆院100人以上、参院50人以上の賛成によるとし、公聴会の開催を義務づけている。憲法改正手続き法案は過去、1953年に自治庁案、54年に衆院事務局案、99年に自由党案とそれぞれ作成されたが、いずれも国会提出に至らなかった。
今回、両法案が提出できるかどうかは、連立与党の公明党の出方がカギを握っているが、9条の改正については、小泉首相とは温度差があって、いまのところ慎重な姿勢を変えていない。いっぽう「創憲」を主張する民主党の場合、旧社会党系議員がやはり慎重だ。「いずれ憲法改正をめぐり政界再編があると思う。改正のための挙党内閣ができるのではないか」(中山会長)との見方もあり、各党の事情を考えると、憲法改正が政界再編の分水嶺になる可能性もある。
関連論文
筆者の掲載許可が得られない論文はリンクしていません。
96年以前の論文については随時追加していきます。ご了承ください。
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