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振り込め詐欺
2004.12.16 更新
 12月13日、警察庁は、頻発している「おれおれ詐欺」など非面接型の知能犯罪の取り締まりを強化するため、新たに「身近な知能犯罪緊急対策チーム」を設置し、合わせて各都道府県警察の捜査二課長ら約120人の捜査員を集めて初の対策会議を開いた。これに先立ち警察庁は、おれおれ詐欺に加え、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、誘拐を偽装した恐喝の4種類の犯罪の総称を「振り込め詐欺」と名付けた。

 振り込め詐欺に共通する犯行の手口は、インターネットで不正売買されているプリペード式の携帯電話(使用料金が前払い制で毎月の基本料金が不要)を使い、交通事故などにあった子や孫を装おうなどして、親族から高額の現金を不正の売買や譲渡で手に入れた銀行口座に振り込ませてだましとるというものだ。加害者は偽名や架空の銀行口座を用いるいっぽう、被害者の居住地と指定された口座の所在地、引きおろし場所がいずれも異なるなど、振り込め詐欺の捜査は困難を極め、検挙率は7%にとどまっている。

 警察庁のまとめによると、今年1〜10月の間に起きた「おれおれ詐欺」は1万2424件、被害総額は約150億1600万円にのぼり、前年の3倍に急増した。アダルトサイトの代金請求を装うなどの架空請求詐欺は40億7600万円、融資保証金詐欺26億7700万円、誘拐偽装恐喝4億3700万円で、振り込め詐欺全体で被害総額は222億600万円になった。

 振り込め詐欺は、当初は息子など親族になりすますケースが多かったが、最近では、弁護士や警察官、保険会社員などを名乗って事故の示談金を要求するなど、複数の加害者による"劇団型詐欺"が目立っている。また犯人は20歳前後の若者が増えているなど、犯人の低年齢化がみられるほか、暴力団の資金源になっているケースも増加している。

 こうした犯罪を防止するため、政府は、銀行口座開設の際に本人確認を義務づけ、偽名口座開設を処罰の対象とする「本人確認法」を昨年1月から施行した。さらに、正当な理由がなく預金通帳とキャッシュカードを売買し、譲渡することを禁じた「改正本人確認法」を先の通常国会で成立させ、年内に実施する。

 いっぽう、犯行に使用される携帯電話の93%を占めるプリぺ−ド式の規制強化については、監督官庁の総務省や業界が、すでに270万台も普及し、利便性が高く、通信の自由競争の原則を犯すとして強く反対している。しかし、自民、公明両党は不正な転売を禁じる規制法案を議員立法でつくり、来年の通常国会で成立を図る方針だ。



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