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論争を読み解くための重要語
ライブドア株上場廃止
2006.03.16 更新
 3月13日、東京証券取引所(以下東証)は、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で証券取引等監視委員会から告発されたライブドア社と関連会社のライブドアマーケティング社の株を、それぞれ4月14日付で上場廃止にすることを決めた。2000年4月に東証マザーズ市場に上場したライブドア社の発行済み株式数は、約10億5000万株。05年9月末の株主数は、インターネット取引を行う個人投資家を中心に約22万人にのぼる。

 東証は、ライブドアの堀江貴文社長らが証券取引法違反(風説の流布、偽計取引)容疑で東京地検特捜部に逮捕された(1月23日)のにともない、家宅捜索(同16日)後の同21日、まずライブドア株を情報開示が不十分であることを周知する「開示注意銘柄」に指定、ついで同23日から上場廃止の恐れがある「監理ポスト」に割り当てていた。3月14日から上場廃止を周知する「整理ポスト」へ移行、4月13日までは市場で取引されるが、同14日に上場廃止となる。

 西室泰三東証会長兼社長は、13日夜の記者会見で、上場廃止の理由について、「投資判断に重要な情報を故意に偽ったのは悪質で、上場会社としての適格性を強く疑わざるを得ない。投資者の証券市場に対する信頼を著しく棄損した」と厳しく非難した。

 ライブドア株は、3月13日の終値が66円で、最高値1205円から18分の1に下落、一時は1兆円を超えた時価総額は692億円に縮小した。ライブドアグループの時価総額も事件発覚前の19%、1920億円に落ち込んだ。なお東京地検は14日、堀江元社長らを粉飾決算で追起訴している。

 上場廃止が決まったことによって、いまも株を保有している株主は、廃止までに損を承知で売るか、そのまま保有して、ライブドアの再建に期待するかの選択を迫られることになる。もちろん上場廃止後も証券会社を通じて売却することも可能だ。しかし、非上場株の場合、売却益課税は20%で、通常の2倍となる。また、上場が廃止されると、株券を管理している証券保管振替機構の機能が使えなくなり、ライブドア社は大量の株券を印刷して株主に返還する必要が生じ、同社株式取扱規程では、その経費の約2億円を株主が負担することになっている。

 投機的な売買が膨らんだことから、ライブドア株の取引はいまも午後2〜3時の1時間だけに制限されている。通常、経営破綻による上場廃止の場合、整理ポストにおける株価は限りなくゼロに近づき、1円で取引を終えることが多い。しかし、ライブドア社は経営破綻したわけではなく、現預金も618億円と潤沢で、収益の高い子会社も抱えていて、株価が無価値になることはない。したがってこの1ヵ月の株価は、今後の経営状況をにらむ展開になりそうだ。

 いっぽう、上場されているグループ会社の動向が注目されているが、中古車販売の「ライブドアオート」や、マンション販売の「ダイナシティ」、データセンターを運営する「メディアエクスチェンジ」の3社は、グループから離れることをすでに表明しており、これだけでグループの時価総額は3割が失われる計算だ。ライブドア社は、上場廃止によって株式市場からの資金調達ができなくなるが、金融機関からの融資も絶望視されている。加えて第2位の大株主で提携先のフジテレビも損害賠償請求訴訟に踏み切る方針を表明するなど、株主損害賠償に直面すれば巨額の負担も避けられない。

 ライブドアは、目下「メディア」、「金融」、「法人向けサービス」の3本柱を掲げて自主的な経営再建を目指すとしている。14日には有線放送大手のUSEN(ユーセン)が支援に名乗りを上げた。しかし、すでに複数の外国投資ファンドなどが買収を打診しているとの情報もあり、ライブドアの今後は波乱含みだ。



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