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論争を読み解くための重要語
日韓EEZ
2006.06.15 更新
 6月12〜13日、日本と韓国のEEZ(排他的経済水域=exclusive economic zone)境界線確定交渉が、6年ぶりに東京で行われた。しかし、竹島(韓国名=独島)の扱いをめぐり、両国が領有権を主張して対立し、交渉は平行線のままで終わった。次回は9月にソウルで開くことを決めただけで、過去4回同様、またも決着は先送りとなった。

 EEZとは、1982年、国連海洋法会議で採択され、94年に発効した「国連海洋法条約」に基づいて決められた、沿岸から200カイリ(約370キロ)以内の設定水域のこと。沿岸国には、海中や海底の魚介類について、もしくは地下の天然資源の探査や開発、保全、管理などの主権的な権利が認められている。この条約は日本、韓国、中国を含む149カ国が批准している(05年末)。

 日韓両国では、このEEZが重なるため、協議して境界線を確定する必要があり、交渉は96年8月から始まった。これに先立つ5カ月前、当時の橋本龍太郎首相と金泳三大統領が竹島の領有権を切り離して交渉を行うことで合意し、韓国側は、「竹島から北西約93キロにある鬱陵島(ウルルンド)を起点として隠岐諸島との中間線」をEEZ境界線として主張した。つまり、竹島は岩礁であり、日本のEEZの起点にはならないとの立場で、竹島は韓国側のEEZ内に取り込まれている。これにたいし、竹島は歴史的にも国際法上も固有の領土だとする日本側は、「竹島を起点に鬱陵島との中間線」を主張、対立していた。

 韓国側は、今回、あらたに、「起点を竹島として隠岐諸島との中間線」を境界線とすることを提案、竹島を岩礁でなく島と認める解釈変更をおこなった。いわば、いちだんと竹島の領有権の主張を鮮明にしたわけだ。さる4月25日、盧武鉉大統領は日本に弱腰である、という国民の批判を受け、「日本が竹島の領有権を主張するのは、過去の植民地の領有権を主張するのと同じことだ。物理的な挑発には断固として対応する」との対日強硬方針を打ち出した。日本側が竹島周辺で海底地形調査をしようとしたとき、韓国が主権侵害だと強く反発、調査の中止を要求した事件(4月14日)のあとのことだ。いっぽう、韓国内で「鬱陵島を起点にしたのでは竹島を不法占拠していると、国際的に誤解される」という世論の高まりも、強硬な主張にいたった背景にある。

 韓国は、今年7月にも竹島周辺における海流観測調査を予定しており、日本側は、EEZ境界線が確定していない海域の調査について、不測の事態が起きるのを防ぐため「事前通報制度」をつくるよう提案した。この制度は、すでに01年、東シナ海において尖閣諸島の領有権で対立する中国との間でつくられているが、韓国は議題外として取り合わなかった。なお、韓国は、竹島周辺海域の海底地形に韓国名をつけて国際機関に登録することを計画している。

 交渉の打開策として、日本側は、99年1月、竹島の領有権問題を一時棚上げし、新日韓漁業協定を締結、その際、竹島周辺を「暫定水域」として両国で管理することで合意した前例にならうことを検討している。しかし、盧武鉉政権は5月、今後5年間で総額342億5000万ウォン(約42億円)を投入して竹島に民間人の常住設備をつくるなどの計画を発表、不法占拠状態を固定化する構えで、日韓EEZ交渉解決への道のりは険しい。



関連論文

筆者の掲載許可が得られない論文はリンクしていません。
96年以前の論文については随時追加していきます。ご了承ください。

私の主張
(2006年)危険! 韓国の北朝鮮化。中・朝・韓三国同盟が日本を包囲する恐れあり
萩原 遼(ノンフィクション作家)
(1997年)領土問題は日米同盟を最大の武器に個別的対応で臨むことが肝要
岡崎久彦(博報堂、千代田化工特別顧問)

議論に勝つ常識
(2006年)[韓国の対北政策についての基礎知識]
[基礎知識]なぜ韓国は反日・親北に傾くのか?
(1997年)竹島、尖閣諸島、北方領土の領有権問題を考えるための基礎知識



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