二〇〇五年七月七日に英国・ロンドンで発生した同時自爆テロは、死傷者七〇〇人以上を出す大惨事となった。狙われたのは市内中心部の、通勤・通学時間帯の地下鉄とバス。〇一年の米国同時多発テロ、〇四年のスペイン列車爆破テロと同様、一般市民が標的となった。しかも、同国のグレンイーグルスでは主要国首脳会議(サミット)が開幕したばかりだっただけに、この衝撃の大きさは計り知れない。 さらに二週間後の二一日には、ふたたび同様の手口で四件の同時爆破・爆破未遂事件が発生。死傷者は出なかったが、従来以上に厳重な警戒態勢を敷いていた中での事件だけに、動揺が広がった。 ただ、七日の実行犯(全員死亡)は六日後に、二一日の実行犯(全員逃亡)は翌日にそれぞれ割り出され、後者は月内に全員逮捕された。その決め手となったのが監視カメラの映像だ。英国には、全土に四〇〇万台以上、地下鉄の各駅だけで六〇〇〇台にも及ぶ監視カメラが設置されている。そのテープに、実行犯の行動が映し出されていたのである。 その一方で、テロとは無関係のブラジル人が、テロ対策のための武装警察部隊に誤って射殺されるという事件も起きた。同部隊は、自爆テロリストの可能性が高い人物と遭遇した場合、自爆阻止のために頭部を狙撃して即死させるよう指示を受けていた。事実関係が判明した後、当局は謝罪したが、今後も狙撃の方針は変えないと言明している。
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