メディアによる著作権支配の影響は、作家への搾取だけに終わらない。だからこそ、アメリカの政府機関は厳重な監視を怠らないのだ。 テレビ局は音楽著作権を保有すると、その楽曲を重点的に放送する。重点放送楽曲はヒットし、莫大な著作権収入をテレビ局にもたらすからだ。オンエアーの作品はたえず利益優先で決定され、自社の収入にならない海外の名曲や他社の作品は選ばれにくい。現に、この一〇年ほどで、局内の音楽担当者の自由な選曲機会は激減した。 平成の子どもたちは、洗練されたサウンドも、卓越したボーカリストも知らない。子どもたちの音楽的感性を養おうと思えば、ケーブルテレビと契約して海外の音楽番組を見るしかない。 人間は誰でも、良い音楽が自然に流れる環境で生活すべきである。しかし、日本には選択の自由すらない。公共の電波を一部の企業家が独占し、自らの利益を最大化するためだけに、音楽を悪用しているからである。
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